2016 Fiscal Year Annual Research Report
体外での生体組織成長制御を目指すメカノ・ケミカルコントロール環境の構築
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16H05533
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松本 卓也 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (40324793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 雅哉 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 准教授 (10332735)
平野 義明 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (80247874)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 細胞操作 / 組織操作 / バイオマテリアル / バイオメカニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生体組織の自己組織化、成長、成熟を体外で制御できる新しいin vitro培養系の構築を目的としている。また、これにより、新たな生命現象の理解も目的の一つである。初年度は軟組織である唾液腺について、その化学的因子の影響について検討を進めた。化学的因子の1つはマクロファージコロニー刺激因子(MCSF)である。我々が構築した三次元自己組織化のin vitro培養系(マトリゲル中に分解単離した唾液腺細胞を凝集塊として存在させ、自己組織化を達成する実験系)において、MCSFを添加することで、その自己組織化が促進されること、また、この際、神経細胞の伸長、分布が有意に増加することが明らかとなった。そこで、この結果を確認するため、唾液腺組織成長抑制を達成する機械的堅さ制御培養系を構築し、使用したところ、本来、その成長が抑制される比較的堅いゲル上にも関わらず、MCSFの添加は唾液腺組織の成長を促進することが示され、また、in vivo腹腔内へのMCSF抗体の投与により唾液腺組織成長の抑制が認められた。以上のことからMCSFが唾液腺組織発生の初期において、その成長を促進する重要な働きを示すこと、ならびにその作用の結果、生成された唾液腺組織の周囲にマクロファージの分布が広がること、といった新しい知見を獲得するに至った。これら実験は、化学的、機械的に制御された培養系をもとに新規生命科学的知見を獲得するという、本研究の目的の一部を達成する大きな研究成果といえる。これについては、昨年度末にJ of Cell Sciにアクセプトされた。また、同様に、フィブロネクチンが唾液腺組織成長に及ぼす影響についての検討も同時に進めている。骨、軟骨組織については、その発生過程における石灰化部位の同定を行い、以降、その発生過程のより詳細な検討、再現を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
化学的、機械的に制御された培養系を構築し、その実験系をもとに新規生命科学的知見を獲得するという、本研究の目的の一部を達成する大きな研究成果を論文発表の形で示すことができており、本研究は概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでに得られた結果、特にフィブロネクチンが唾液腺組織成長に及ぼす影響について、フィブロネクチン単体、ならびにフィブロネクチンの機能性モチーフであるRGD配列を用いて検討する予定である。検討方法としての培養系の最適化を進める。自己組織化を助ける役割ともいえる、フィーダー細胞の影響についても同様の方法を用いて検討を進めていく予定である。さらに、それら自己組織化の過程をより詳細に定量的評価を進める予定である。 骨、軟骨組織については、その石灰化過程のin vitroにおける再現系構築を目指し、in vivo、in vitro両方における微小石灰化部位の定性、鄭両評価をさらに進めていく予定である。
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Research Products
(6 results)