2016 Fiscal Year Annual Research Report
染色体パッセンジャー複合体タンパクの分解とその破綻による口腔発癌機構の解明と制御
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16H05542
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
工藤 保誠 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 准教授 (50314753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 哲治 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 教授 (00169153)
宮本 洋二 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 教授 (20200214)
河合 秀彦 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (30379846)
石丸 直澄 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 教授 (60314879)
常松 貴明 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 助教 (70726752)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 染色体パッセンジャータンパク / ユビキチン分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、申請者らが予備実験において、染色体パッセンジャータンパクの構成因子であるBorealinがユビキチンリガーゼであるAPC/CCdh1によりG1期においてユビキチン分解される可能性があることを見出した。そこで、APC/CCdh1によるBorealinの分解機構の詳細を明らかにするために、まず、Cdh1の過剰発現によるBorealinの分解について検討し、Cdh1の過剰発現によるBorealinの発現低下を確認した。さらに、Cdh1のsiRNAによるノックダウンによりG1期におけるBorealinタンパクの蓄積が認められた。また、Cdh1のノックアウトマウスから採取した胎児線維芽細胞を用いて、Borealinの発現を検討したところ、細胞周期を通して、Borealinタンパクの安定化が認められた。実際に、BorealinとCdh1の結合も確認した。 また、BorealinのAPC/C-Cdh1によるユビキチン化をin vivoで解析したところ、Borealinのユビキチン化がCdh1のノックダウンで認められなくなった。In vitroのユビキチン化に関しては、技術的に困難であった。 次に、APC/C-Cdh1はRxxLやKENといったアミノ酸配列を分解ドメインとして認識し、ユビキチン分解することが知られているため、Borealinの分解ドメインの検索を行った。まず、Borealinタンパクは、3つのRxxL配列を有していたが、いずれも分解ドメインではなかった。そこで、種々のアミノ酸配列を欠損させた欠失変異体を作成し、HA-Cdh1との結合を指標に免疫沈降により分解に重要な配列の特定を試みた。その結果、N末端に存在する5つのアミノ酸がCdh1との結合に必須であることが明らかとなり、その変異体は、分解されないことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたとおりに、BorealinがAPC/C-Cdh1でユビキチン分解されることを証明した。APC/C-Cdh1はRxxLやKENといったアミノ酸配列を分解ドメインとして認識することが知られており、Borealinに3つのRxxL配列を有していたが、いずれも分解ドメインではなかった。そこで、種々のアミノ酸配列を欠損させた欠失変異体を作成し、HA-Cdh1との結合を指標に免疫沈降により分解に重要な配列であるN末端に存在する5つのアミノ酸を同定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度は、BorealinのAPC/C-Cdh1によるユビキチン分解機構の詳細を明らかにすることができた。そこで、本年度は、CPC淡白による染色体分配制御におけるBorealinタンパクのユビキチン分解の役割を明らかにするために、当初の計画通りに研究を進めていく。具体的には、Borealinの分解抑制変異体の染色体分配における局在の解析、Borealinの分解抑制変異体が他のCPCタンパクの安定性や染色体分配に及ぼす影響、Borealinの分解抑制変異体が他のCPCタンパクのユビキチン化に及ぼす影響を検討する。
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Research Products
(5 results)