2017 Fiscal Year Annual Research Report
舌苔の病原性評価ガイドラインの策定に向けた基盤マイクロバイオームデータの構築
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16H05557
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
竹下 徹 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (50546471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 研時 九州大学, 歯学研究院, 助教 (10712680)
山下 喜久 九州大学, 歯学研究院, 教授 (20192403)
古田 美智子 九州大学, 歯学研究院, 助教 (20509591)
二宮 利治 九州大学, 医学研究院, 教授 (30571765)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 舌苔 / マイクロバイオーム / 16S rRNA / ITS領域 / 要介護高齢者 / 地域在住高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度採取した舌苔検体の細菌構成解析および真菌構成解析および健康との関連に関するデータ分析を進めた。地域住民健診において70~80歳の508名の受診者から採取した検体については16SrRNA遺伝子塩基配列解析を完了し、全検体の細菌構成を決定した。これにより健常高齢者の舌苔微生物叢を構成する主要な細菌種はおおよそ共通している一方で二つの異なる共存細菌群に分類され、現在歯数、う蝕経験等口腔の健康状態の異なる被験者ではそれら二群の構成比率のバランスが異なっていることが明らかになった。一方、定量PCR法で算出した舌苔の総細菌数と口腔の健康状態とのあいだには有意な関連は認められなかった。加えて検体に含まれる真菌量についても定量PCR法を用いて測定し、共存細菌群二群の構成比率とのあいだに関連を認めた。これらの結果について学会発表を行い論文の作成を進めた。また、施設入所要介護高齢者から採取した舌苔についても細菌構成の分析を進め、死亡および肺炎死亡との関連する細菌構成パターンを見出し論文として報告した。これらの検体に含まれる真菌の構成について16SrRNA遺伝子のITS領域を用いた真菌構成の解析を行った。各施設におけるカルテ閲覧による検体採取後の対象者の予後についての調査を前年度から継続して行った。在宅要介護高齢者の調査については協力施設を決定し、施設の担当者との打ち合わせを進めることで次年度の調査のための準備を完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は予定していた地域住民から採取した舌苔検体の細菌構成、総細菌量の解析を完了することができた。さらに口腔の健康状態との関連について検討を行い学会発表および論文の作成を進めることができた。また施設入所高齢者の舌苔細菌叢と予後についての解析を進め論文発表を行うことができた。在宅要介護高齢者の調査については本年度遂行するには至らなかったが次年度の調査の目処は立ったことから、全体の達成度としては「概ね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は抽出した舌苔DNA検体について定量PCR法および特に真菌構成に関する次世代シーケンサーを用いた微生物群集解析を進める。また、地域在住健常高齢者と施設入所ないし在宅の要介護高齢者の舌苔微生物叢の比較による異常微生物叢の検出とそれらの特徴の把握を目指した解析を進める。加えて在宅要介護高齢者における調査を遂行する。
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Research Products
(5 results)