2019 Fiscal Year Annual Research Report
北極ツンドラ生態系における土壌CO2フラックスの冬期の動態解明と年間の高精度推定
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16H05622
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
内田 雅己 国立極地研究所, 国際北極環境研究センター, 准教授 (70370096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米村 正一郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境変動研究センター, 主席研究員 (20354128)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 極地 |
Outline of Annual Research Achievements |
二酸化炭素濃度測定センサー内部に水が浸入することにより、センサーが故障してしまうことが明らかとなったため、センサーを保護するホルダーの構造を見直し、新たなホルダーを作成した。また、現地でセンサーを設置する際に、水の浸入が少なくなるようセンサーの設置方法を工夫した。 夏にノルウェー北極に赴き、土壌中の二酸化炭素濃度、土壌水分および土壌温度データの回収を行った。二酸化炭素濃度センサーについては、異なる濃度の標準ガスの本数を増やし、校正精度を高めた。不調および降水や融雪期に故障したと思われる二酸化炭素濃度測定センサーについては、新たなホルダーに正常なセンサーをセットしたのち、野外に設置した。 自動土壌呼吸測定装置を野外に設置し、昼夜連続で夏期の土壌呼吸速度の測定を実施し、無事に測定を終えることができた。土壌呼吸測定終了後には、チャンバー内の土壌を採取し、根と土壌の乾燥重量を測定した。室内実験においては、氷点下およびプラスの温度帯において、土壌からの二酸化炭素放出速度の測定を行い、それぞれの温度帯で放出速度の温度依存性を求めた。またシミュレーションモデルに必要な土壌中の二酸化炭素の拡散係数についても推定を試みた。 本研究は北極域では初めての事例となる。ニーオルスン観測拠点の国際会議であるニーオルスン観測調整会議がリードするニーオルスン陸域フラッグシッププログラムのシンセシス論文に著者として加わり、本研究に関する執筆を行った。また、冬の土壌中の二酸化炭素濃度の動態および土壌培養の結果について論文執筆を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
積雪期間中に生じる降雨や急激な融雪時に水がセンサーに入り込むのを防ぐ機構を有したフォルダーを開発し、現地に設置することができた。また、夏期、土壌呼吸速度の連続測定も実施することができた。さらに、国際観測拠点であるニーオルスン観測調整会議が主導するニーオルスン陸域フラッグシッププログラムにおけるシンセシス論文の執筆者として、本研究に関する情報を論文に加えることができた。積雪期も含む土壌中の二酸化炭素濃度のデータについては、国際誌へ投稿するため論文を執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
室内での土壌培養実験を継続する。執筆中の論文を投稿する。 新型コロナウイルスの影響により、現時点で夏までのノルウェー北極への渡航が制限されている。渡航制限が解け、調査地のあるニーオルスンでの受け入れ体制が整えば、土壌中の二酸化炭素、温度および水分データの回収とともに、機材等の撤収を行う。もしニーオルスンへの渡航が困難な場合は、昨年度までに得られたデータを整理、解析して土壌呼吸のシミュレーションモデルを高度化し、土壌中の二酸化炭素濃度から土壌呼吸量の推定を試みる。また、冬期の土壌呼吸量の推定も行い、年間の土壌呼吸に占める冬期の土壌呼吸の割合を推定する。
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Research Products
(6 results)