2017 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける有害有機エアロゾルの大気分布・拡散・反応及びリスク評価
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16H05625
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
亀田 貴之 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (50398426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大浦 健 名城大学, 農学部, 教授 (60315851)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大気汚染 / PAH / 東アジア / 二次生成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,中国をはじめとした東アジア地域におけるエアロゾル中の有害な多環芳香族炭化水素(PAH)誘導体について,[1]発生レベル・濃度分布を実大気観測によって明らかにすること,[2]それらの日本への越境輸送について明らかにすること,[3]越境輸送中の反応によるPAH誘導体の変質・二次生成過程を明らかにすること,[4]PAH誘導体によって引き起こされる種々の生体影響について検証することを目的としている。 本年度は,中国遼寧省瀋陽市,および比較対象として京都市ならびに石川県珠洲市において捕集したエアロゾル中の化学成分について測定・分析を行った。実大気粒子中のPAHならびにPAH誘導体濃度を測定した結果,測定期間中のΣPAH,ΣOPAH,ΣClPAH,ΣNPAHの濃度レベルは瀋陽>京都>珠洲の順であった。濃度は冬季に高く夏季に低い傾向が見られ,その濃度差は16~100倍程度でPAH,OPAHにおいて特に顕著であった。代表的なClPAHである6-chlorobenzo[a]pyrene(6-ClBaP)と3-chlorofluoranthene(3-ClFluor)の濃度比[6-ClBaP/3-ClFluor]を算出したところ,どの地点においても冬季に低く,夏季に高くなる季節的な変動の傾向がみられた。その中で瀋陽や京都では冬季と夏季の差は2倍程度であったのに対し,珠洲では9倍の特に顕著な差がみられた。珠洲で観測された濃度比を他都市と比較すると,冬季は瀋陽と珠洲が近い値となり、夏季は京都と珠洲が近い値を示した。さらに後方流跡線解析の結果、冬季の珠洲には中国を含めたアジア大陸から気塊が流入したことを示しており、これらの結果から冬季の珠洲大気中ClPAHはアジア大陸から越境輸送されている可能性があると推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り東アジアの都市において観測(捕集試料の分析)を遂行できたことに加え,対照地域として国内2地点における観測結果の評価を行うことができたことなど,おおむね見込どおりの研究成果をあげることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,東アジア地域において捕集した大気試料中のPAH誘導体分析を行うとともに,レセプターモデルなどによる起源解析を行う。また,加えて大気試料に対する生体影響評価のための基礎データとして,DTTアッセイを実施する。
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[Journal Article] Chlorinated polycyclic aromatic hydrocarbons in surface sediment from Maowei Sea, Guangxi, China: occurrence, distribution, and source apportionment2017
Author(s)
Y. Wang, R. Liao, W. Liu, K. Kannan, T. Ohura, M. Wu, J. Ma
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Journal Title
Environ. Sci. Pollut. Res.
Volume: 24
Pages: 16241-16252
DOI
Peer Reviewed
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