2017 Fiscal Year Annual Research Report
Role of of That Luang Marsh for Environmental Health of Laos Vientiane Metropolitan Area
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16H05634
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
翠川 裕 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 准教授 (10209819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 徹 山形大学, 農学部, 教授 (10302192)
翠川 薫 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (20393366)
大村 達夫 東北大学, 工学研究科, 教授 (30111248)
中村 哲 広島文化学園大学, 看護学部, 教授 (40207874)
真砂 佳史 国際連合大学サステイナビリティ高等研究所, サステイナビリティ高等研究, その他 (50507895)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ラオス / ビエンチャン / タートルアン湿原 / チャイナタウン / テイントン / ナクヒヤウ川 / 水質 / サルモネラ |
Outline of Annual Research Achievements |
1999年以来本ラオスの環境・公衆衛生の課題を18年間継続して調査してきたが、この間ラオスでは中国の投資などにより、経済が発展してきた。2009年に首都ヴィエンチャンにて東南アジア競技大会が開催されたが、資金難のラオス政府では競技場の建設が出来なかった。そこで中国が代わりに建設する対価としてタートルアン湿原の埋め立てによるチャイナタウン建設等の首都開発権を得た。チャイナタウン建設により湿原の面積は減少し、生活排水の浄化機能の低下から水質は悪化し続けている。また、経済の発展に伴い、市内の衛生環境も変化している。 これまでの本テーマにおける研究で明らかにしてきたラオスにおける環境・公衆衛生の課題のうち、前年に引き続き水質と大気、市場の食肉のサルモネラ汚染について調査を行った。 ヴィエンチャンの市場で流通している食肉のサルモネラ菌汚染について把握。今年度はサルモネラ汚染率が50%を超える高い結果となった。この結果から、ラオスの市場はサルモネラ汚染のリスクの高さを示している。サルモネラの検出が、自然浄化力の指標となると考えている。湿原の汚水が流れ込む地点でサルモネラを検出したが、メコン川からは検出していない。 さらに、ビエンチャン住民の生活排水は、湿原を経ずして直接メコン川に流入している大小の水の流れも存在することを確認した。これらの水量はそれほどでもなく、メコン川の自然浄化作用で十分水質が保全されていることを確認した。 しかしながら、湿原の水が流れ込むことで、メコン川の水質は悪化していると考えられる。特に、タートルアン湿原からの水が水路を通りティントン、マクヒアオ川へと流れてく段階でヒ素が濃縮されたため、ヒ素含量は無視できないと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
下水処理施設のないラオス首都で下水の浄化を行う上で、タートルアン湿原を源とするマクヒアウ川の重要性を認識するに至った。湿原の浄化機能の現状を把握するうえで、メコン川、タートルアン湿原、マクヒアウ川のメコン川にそそぐ河口、メコン川下流水質をモニターすることで、本研究の目的である水質監視システムの構築が可能となった。 環境調査の要素として、化学的酸素要求量などの一般水質、大腸菌・大腸菌群、などの指標菌に加え、ノロウイルスとサルモネラといった食中毒傾向感染症の原因微生物の検出方法が大幅に改善されてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の構築された監視システムの経年変化を追跡調査する。 調査地点はメコン川上流地点としてビエンチャン西部カオリオ地区から、湿原の水が流れ込んでいるテイントン河口部、およびマクヒアウ川のメコン川流入地点、を定点として継続調査する。調査項目:溶存酸素、化学的酸素要求量、など一般の水質汚染を調べるほか、特にサルモネラ、ノロウイルス、大腸菌・大腸菌群といったターゲットを限定した重点項目に焦点を定めた調査を行う。なお、ラオス首都ビエンチャンを流れるメコン川を、タートルアン湿原の水が流入する前を上流、同湿原の水が流れ込んだのちの地点を下流と定義する。
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