2018 Fiscal Year Annual Research Report
Role of of That Luang Marsh for Environmental Health of Laos Vientiane Metropolitan Area
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16H05634
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
翠川 裕 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 准教授 (10209819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 徹 山形大学, 農学部, 教授 (10302192)
翠川 薫 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (20393366)
大村 達夫 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (30111248)
中村 哲 広島文化学園大学, 看護学部, 教授 (40207874)
真砂 佳史 国際連合大学サステイナビリティ高等研究所, サステイナビリティ高等研究, その他 (50507895)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ラオス / ビエンチャン / タートルアン湿原 / 水質 / 大腸菌 / サルモネラ / マクヒアウ川 / メコン川 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究のタイトルとなっているラオス・首都ビエンチャンの住民が排出する下水を自然浄化してきているタートルアン湿原は、マクヒアウ川と呼ばれる人工の河川の水源地となっている。マクヒアウ川はおよそ50kmを流れてメコン川に達する。この50キロを流れる間に水質が最初は汚染されていた水の水質が改善されていくことが判明した。すなわち、マクヒアウ川のメコン川河口に定点を河口上流、河口部、河口下流に3か所定め水質調査をしたところ、同水源より流れる河川水は10km地点で大幅な水質改善が認められた。メコン川河口地点では、マクヒアウ川の水質は、浄化が進み、流入していくメコン川の水質よりも良好な状態となっていた。ただし、この結果はあくまで2018年の調査時という限定されており、今後も水質は継続調査する必要がある。特にチャイナタウンの建設等の湿原開発が進むことで、マクヒアウ川水質の悪化があるのかどうかを今後追跡調査する必要があるとの結論に達した。その他、 ①ラオスにおける食中毒菌サルモネラの食品の汚染とヒトの保菌率ははるかに日本のそれと比較してリスクが高い現状がある中で、同菌はマクヒアウ川の上流では検出されたが、それ以外の下流では検出されていないことが明らかとなっている。 ②乾季にはマクヒアウ川上流で大量の蚊の幼虫ボウフラが発生している。環境とヒトの健康被害の調査が重要な課題であると判明している。 ③2018年にはメコン川のあちこちで氾濫し、マクヒアウ川もその影響で多くの地点で河川水が氾濫し、氾濫部分で水質の悪化を認めている。 以上が判明。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、2016年から毎年継続して、雨季と乾季に必ず最低一度は現地調査を実施してきている。研究代表者及び分担者のべ、15名が現地調査を実行した。このことから、当初の計画どおりに現地調査を遂行しているといえる。その結果、ラオス首都及びメコン川の水質に対する湿原の開発の影響を看視するために、以下①②の調査モデルが提唱されうる。
①タートルアン湿原の自然浄化作用は、マクヒアウ川の水質を定点調査することでモニターすることが可能。 ②特に、メコン川のマクヒアウ川河口部の上流、河口部、河口部の下流の水質を調査し、河口部下流の水質が銅上流の水質と比較して悪化が認められなければ、タートルアン湿原の浄化機能は健在であることの証拠となる監視システムを構築している。 本調査で提唱する水質の調査モデルを以後継続することでラオスとメコン川の環境保全に貢献できると確信している。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査をこれまで(2016~2018までの3年間各年雨季と乾季に行ってきている)と同様に継続する。日本滞在中においてもグーグルアースなどを用いて、過去にさかのぼり、タートルアン湿原とビエンチャン市内および郊外の変遷及び現状を人工衛星でリモートセンシングされることで判明した地図をもとに明らかにする。これにより、マクヒアウ川の建設された年及びチャイナタウンの建設の進行状況が把握できる。現地調査で明らかにすること。 ① マクヒアウ川の上流からメコン川河口部に至るまでの水質の変化。 ② メコン川の水質を、マクヒアウ川河口上流と河口下流の2地点を比較する。 ③ マクヒアウ上流の主として乾季に大量発生する蚊の幼虫ボウフラの種類を調査し、予測される蚊が媒介する健康被害を明らかにする。
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