2018 Fiscal Year Annual Research Report
シーボルト標本による自然の体系と江戸の自然環境の検証
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16H05637
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 猛智 東京大学, 総合研究博物館, 准教授 (70313195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 博 東京大学, 総合研究博物館, 准教授 (30299177)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | シーボルト / 自然史 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物分野では、タイプやそれに準じる標本を中心に、これまで調査できなかった単子葉植物を中心にライデンとミュンヘンで当該標本を探索し、分類学的検討を行い、写真撮影を行った。イギリスのキュー植物園にもシーボルトの標本があり、その中にはタイプの重複品や論文に引用された標本も含まれていることが判明した。また、ウィーン自然史博物館はシーボルトとの関係が知られていなかった博物館であるが、シーボルト標本が収蔵されていることが分かった。動物分野ではライデンでシーボルト貝類標本の追加調査を行い、標本を撮影した。ベルリン自然史博物館でも少数のシーボルト標本が発見された。文書資料は、ベルリン国立図書館でシーボルト関連の文書調査を行った。2017年の調査で発見されたビュルガーの書いた1826年江戸参府日記を詳細に検討した。ビュルガーはシーボルトの日本における助手であり、江戸参府に同行している。検討の結果、この日記は、旅行中に書かれた記録に長崎に戻った後に書き加えられたコメントからなっており、シーボルト著「日本」に掲載されている江戸参府日記の下書きであることが初めてわかった。シーボルトはビュルガーの日記を基にして、自らの見聞を追加して江戸参府日記を書いたと思われる。ビュルガーの日記には、シーボルト著「日本」の参府日記には書かれていない多くの情報があり、参府旅行の間に収集された自然史標本について、その収集過程が克明に記述されている。同様に、植物、動物、地質、鉱物、地理、気候、測地などについて重要な記述が多く含まれている。現在、全文の解読とシーボルトの日記との対比を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに海外収蔵標本調査を実施できており、新規のシーボルト標本の発見があった。研究目標の達成に向けて、次年度も標本調査を継続できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年11月にライデンで開催される予定の第12回国際シーボルト研究会議に参加し、研究発表を行う。また、会議の前後にナチュラリス生物多様性センターに収蔵されているシーボルト標本の再調査を行う。さらに、ナチュラリス生物多様性センターのアーカイブ、ライデン大学図書館に収蔵されている文書資料を調査する。過去の調査結果で未公表のものは本年度に出版する。本年度の調査終了後にはシーボルトコレクションの全貌についてまとめなおし、その成果は、シーボルト来日200周年の2023年に開催される予定のシーボルト自然史特別展示に反映させる。
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Research Products
(2 results)