2018 Fiscal Year Annual Research Report
生物考古学資料にもとづく古代アンデス社会の複雑化過程の解明
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16H05639
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Research Institution | University of East Asia |
Principal Investigator |
鵜澤 和宏 東亜大学, 人間科学部, 教授 (60341252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長岡 朋人 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (20360216)
關 雄二 国立民族学博物館, 人類文明誌研究部, 教授 (50163093)
瀧上 舞 山形大学, 人文社会科学部, 学術研究員 (50720942)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アンデス / 古代社会 / 権力 / 暴力 / 生物考古学 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)現地調査の進展: 2018年7月から9月にかけて研究代表者および分担者による現地調査を行い、ペルー北高地に所在するパコパンパ遺跡およびクントゥルワシ遺跡において調査を進め、人骨・動物骨資料を収集した。これら生物考古学的資料の形態学的、動物考古学的分析を現地において進めるとともに、地球科学的分析をおこなうためのサンプルを採取した (鵜澤・関・瀧上)。遺跡における現地調査終了後、ペルー国立自然史博物館において哺乳動物骨格資料の形態学的調査を行った。 (2)国内研究機関における分析の進展: 現地で採取した地球科学的分析用資料について、ペルー文化庁の輸出許可を得て日本に持ち帰り、国内研究期間において分析を実施した。これは現在も継続中である。年代測定のデータが充実し、生物考古学資料の所属年代を一部修正した。なお分析を委託していた人骨の古DNAについて、保存状態が良好で解析可能との報告を得ている。今後、権力の発生や暴力の行使など、文明発展期において複雑化する人間関係を、系統関係と対照させながら理解を深めることを目指す。 (3)データの統合とモデル化: 現地調査で得られた知見、その後の分析によって得られたデータを総合的に検討する研究会議をひらき、知見の整理を行うとともにモデル化を進めた。 (4)成果発表: 今年度研究成果を学術雑誌、国際学会等において発表した。今年度発表した論文は13報、口頭発表は15件(うち国際学会8件)であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)調査の側面:本研究課題に着手以来、ペルーにおける現地調査ならびに博物館調査が遅滞なく順調に進展している。一次資料の収集、分析データが計画通り蓄積されている。とくにパコパンパ遺跡から出土した古人骨の食性復元に関する情報はほぼ収集を終えた。今後は、周辺遺跡との比較に重点を置いた研究に重点を移していく。また、社会の複雑化過程に暴力がどのように関与したかについても、新たな情報を人骨の古病理学的な分析からデータ収集が進んでおり、仮説モデルとの対照、およびモデルの精緻化が進展している。そうじて、おおむね順調に研究が進展していると自己評価する。 (2)研究公表の側面:研究実績の概要に記したとおり、論文発表、学会発表、国際集会における成果公表が順調に進んでいる。現在投稿中の論文が1報あるほか、現在解析を進めているデータについても論文発表が可能な質と量をそなえていると評価しており、次年度以降も研究成果の順調な蓄積が見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は順調に進展していることから、研究目的とする「生物考古学の視点から古代アンデス社会における人々の生老病死と世界観を復元し文明発展期における社会構造の解明」を計画通り推進する。最終年度にあたる2019年には、埋葬人骨の古DNA分析を進めること、周辺遺跡との比較を行うことに重点を置く。予備的な分析からは、DNAが採取されており、考古学的に推定される社会的地位を、個体の系統関係と対照させながら検討を進めたい。また、本研究課題の中心的な調査対象であるパコパンパ遺跡から約50kmはなれた地点に所在するクントゥルワシ遺跡との比較を進める。これらふたつの遺跡はほぼ同時代に建造された神殿遺跡であり、物質文化の点でも共通性が高い。社会の複雑化過程を比較する上で、それぞれの神殿社会の構成員の生老病死を探求し、比較、対照することよって古代アンデス社会の理解を深めたい。
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Research Products
(29 results)