2017 Fiscal Year Annual Research Report
天山山脈北部地域における短命氷河湖の環境条件の解明と減災対策の構築
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16H05642
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
奈良間 千之 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (50462205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浮田 甚郎 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80272459)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 氷河湖 / リモートセンシング / GIS / 土砂災害 / 地中レーダー / 天山山脈 |
Outline of Annual Research Achievements |
天山山脈北部地域の短命氷河湖の出水機構やその地形環境を調べるため,2017年7月~8月の1ヵ月間の現地調査を実施した.デブリ地形内部の空洞の位置やサイズを知るため,南イニルチェック氷河において地中レーダー探査装置(GPR)を用いて氷河内部の空洞の反射特性を調べた.その結果,空洞の形状や大きさで反射特性が異なることがわかった. テスケイ山脈では,短命氷河湖が出水した氷河前面で地中レーダー探査を実施し,空洞の検出をおこなった.また,昨年度設置した気温計,地温計,雨量計,インターバルカメラ,水位計のデータ回収をおこない,短命氷河湖の出水時のハイドログラフを知ることができた.また,ドローンでの空撮を実施し,空撮画像からオルソ画像と地形表層モデル(DSM)を作成し,2015年,2016年,2017年のデブリ地形の変化を明らかにした. クンゴイ山脈では,永久凍土環境を把握するため,GNSS測量で岩石氷河の流動を調べ,昨年1年間で1mの流動を確認した.また,地温,気温データを回収し,岩石氷河周辺の環境は永久凍土が存在しうる環境であることが示された.地表面の変動箇所は,ALOS-2/PALSAR-2の差分干渉SAR解析とドローンの空撮画像のイメージマッチングより求めた流動箇所と一致した. キルギス緊急対策省と氷河湖監視の打ち合わせをおこない,キルギス地質局が作成した氷河湖インベントリと我々のインベントリを統合することで合意した.また,早期情報伝達システムの運用を開始し,衛星データによるモニタリングをおこない,新規の湖が出現した際にはデータを提供した.キルギス国立大学では,2017年7月に氷河湖セミナーを開催した.本研究の成果をまとめた論文は,Natural Hazard Earth System SciencesとGeosciencesに掲載された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
短命氷河湖の地形の環境条件は,衛星画像解析や現地調査の結果から明らかになりつつある.また,地中レーダー探査による氷河内の空洞検出の反射特性に関する理解も進んだ.キルギス緊急対策省と早期情報伝達ネットワークを実施するため,Landsat7,8,Sentinel-2,ALOS-2などの衛星データを用いて新規の氷河湖の監視をおこない,多数の新規の氷河湖を見つけて数日内に報告した.キルギス国立大学で教員や学生を対象に氷河湖セミナーを実施できた.
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Strategy for Future Research Activity |
ハザードレベルの新評価基準の提案を含んだ,キルギス地質局のデータを統合した氷河湖インベントリをまとめ,印刷する.早期情報伝達システムの新規の氷河湖の監視は継続的に進める.また,早期情報伝達システムの画像解析の自動化は今後の課題であり,自動化の準備を進める. 現地調査では,地中レーダー探査によるデータを増やし空洞の反射特性の理解を確実なものとする.また,GNSS再測量,水位計,気温計,地温計,雨量計,インターバルカメラのデータ回収と,ドローンの再空撮を実施し,短命氷河湖の環境条件の解明,3年間の地形環境の変化,短命氷河湖の拡大と出水についてのメカニズムに関する理解を促進させる.
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Research Products
(27 results)