2019 Fiscal Year Annual Research Report
オーラルヒストリーによる旧ソ連ロシア語系住民の口頭言語と対ソ・対露認識の研究
Project/Area Number |
16H05657
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柳田 賢二 東北大学, 東北アジア研究センター, 准教授 (90241562)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 唯史 京都大学, 文学研究科, 教授 (20250962)
楯岡 求美 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (60324894)
堀口 大樹 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (50724077)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ソ連 / オーラルヒストリー / ロシア語 / 言語接触 / 言語変化 / リンガフランカ / ソビエト文化 / 言語政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本科研費研究のタイトルにある「ロシア語系住民」という語は、想定外に政治的にホットとなってしまった。2014年春のロシアによるクリミア併合の口実の一つに「ロシア語系住民を守る」ことが挙げられていたことに始まり、ロシアとウクライナは連日「荒唐無稽」と形容するほかない反ウクライナと反ロシアのプロパガンダを執拗に自国民に見せ、呆れさせながらも着実に敵愾心を煽っている。またソ連時代を「占領による暗黒時代」と規定して否定し、EUに加盟して人権尊重の自由主義国となったはずのバルト3国では国家語として定めた民族語(エストニア語、ラトビア語、リトアニア語)の検定試験に合格していない「ロシア語系住民」に対しては就職すら制限し、市民に「通報」を奨励しつつ「言語警察」的行政機関を使ってロシア語使用を抑圧している。しかもエストニアとラトビアは国家語の検定試験に合格していないロシア語系住民には参政権すら与えない。 またスターリンやベリヤの故国ジョージアでは2019年6月、同国議会自らが招請したロシア下院議員が議会の議長席に座りロシア語で演説したことが「ソ連時代を想起させる」との口実での大規模な反露暴動に結びつけられた。 2018年度までの本共同研究の結果、研究チームでは「ソ連は崩壊したが消滅したわけではなく、『プロパガンダ国家』、『密告社会』、『全体主義的国家観』というソ連の負の遺伝子が変異しつつどの国においても受け継がれていると言えるのではないか」との感想を共有するに至った。2019年度もロシア欧州部、バルト、カフカース、ウズベキスタンでオーラルヒストリーの聞き取りを続け、各人とも新たな知見を得た上で論文発表や口頭報告を行ったが、新型肺炎のパンデミックのため、年度末の開催を計画していた研究会は不可能となった。本科研費課題の総括としての研究会を2020年冬以降に東北大の校費で行うことを考えている。
|
Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
|
-
-
-
-
-
-
-
[Book] ロシア文化事典2019
Author(s)
(編集代表)沼野充義、望月哲男、池田嘉郎、(編集委員)井上まどか, 熊野谷葉子,鴻野わか菜, 坂庭淳史, 楯岡求美, 乗松亨平
Total Pages
886
Publisher
丸善出版
ISBN
978-4-621-30413-6