2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study of social network dynamics at oases of the Arabian Peninsula and the Sahara Desert over the past half century
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16H05658
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
縄田 浩志 秋田大学, 国際資源学研究科, 教授 (30397848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石山 俊 国立民族学博物館, 人類文明誌研究部, プロジェクト研究員 (10508865)
遠藤 仁 秋田大学, 国際資源学研究科, 客員研究員 (80551548)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 社会的紐帯 / 西アジア / 北アフリカ / 乾燥地域 / オアシス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、サハラ沙漠とアラビア半島のオアシスでおよそ半世紀前から、日本の地理学者・文化人類学者が実施した現地収集資料と研究内容を発展的に継承することにより、現代の社会的紐帯を土地利用、生業形態、資源管理法、物質文化との関係から把握して、ミクロレベルとマクロレベルの相互作用を明らかにし「弱い社会的紐帯の強さ」を実証的に検証することである。 今年度は、昨年度に計画したものの当地の事情から実現しなかったアラビア半島サウディ・アラビアのワーディ・ファーティマ・オアシスにおける現地調査を海外共同研究者と共に行った。 景観分析班では、すでに行った土地被覆解析(1960年代に撮影されたCorona衛星写真と70年代以降に観測されたLandsat MSS、TM、ETM、ALOSといった衛星データを利用)から明らかになった、住居域の変化や農地・植生域の増減などを、記録写真と比較しながら景観変遷を復元した。さらに地表景観の現地観察や、地域の古老、農家や土地所有者への聞き取りを実施して、生活の変化と景観の変遷とを対応させていった。 物質文化班では、家屋や井戸といった構造物に関して半世紀前の写真や図と比較しつつ、実測図・写真として記録した。また現地行政組織や博物館等に保管されている民具を対象として実測図・写真・動画・3Dデータをまとめた。 社会紐帯班では、半世紀前に記載された父系・母系・婚姻関係、農業労働者と土地所有者の関係、また民族集団、住居域、家屋のタイプとの対応関係などの資料を手掛かりとして、資料に記載された個人とその子孫を可能な限り同定しながら、現地での聞き取りに基づいて社会紐帯を具体的に把握していった。 それらについては、学会・研究会などで17本の口頭・ポスター発表(うち3件は調査対象国サウジアラビアにて)を行った。また学術雑誌に4本の論文としてまとめて、投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サウジアラビアの現地調査許可を正式に取得し、集約的な現地調査を実施することができた。また、それらの現地調査結果を速やかに学術論文としてまとめ投稿までこぎつけることができた。 同時に本研究成果は、企画展示「サウジアラビア、オアシスに生きる女性たちの50年―「みられる私」より「みる私」」(2019年 6月6日~ 9月10日に大阪の国立民族学博物館、また同年10月5日~ 12月22日に横浜ユーラシア文化館で開催)における中心的展示内容として発展させるための準備を順調に行った。 またその内容を『サウジアラビア、オアシスに生きる女性たちの50年』(2019年6月出版予定、河出書房新社)としてまとめることができた。 一方、アルジェリアにおいては海外安全情報におけるレベルが依然として高いため、現地調査は実施することができなかったため、状況が許せば最終年度に実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる来年度は、研究成果の学術発表と展示活動を通じた研究成果のアウトリーチを通じて、実践としての「弱い社会的紐帯」を強める社会実装を目指す。 自然/人文地理学、文化/環境人類学、民族考古学、生物学、開発学、歴史学、教育学の観点から、1)社会紐帯班、2)物質文化班、3)動植物相班、4)景観分析班に分かれて行ってきた現地調査と分析に関して、複数の学術大会(日本中東学会と日本沙漠学会)において口頭・ポスターでの研究発表を行う。また、複数の論文を学会誌(日本沙漠学会誌)への投稿を行う。 同時に、企画展示「サウジアラビア、オアシスに生きる女性たちの50年―「みられる私」より「みる私」」(2019年 6月6日~ 9月10日に大阪の国立民族学博物館、また同年10月5日~ 12月22日に横浜ユーラシア文化館で開催)における中心的展示内容として、本研究成果を発展させる。またその内容を、『サウジアラビア、オアシスに生きる女性たちの50年』(2019年6月出版予定、河出書房新社)としてまとめる。展示関連行事であるワークショップ、ギャラリートーク、講演会を通じて、単行本出版を通じて、日本の一般社会と研究成果を共有する。 1)研究成果の英語・仏語・アラビア語による出版、2)理論的考察に基づく社会開発への提言、3)展示活動を通じた研究成果の現地社会への還元、の準備とまとめを行う。
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Research Products
(23 results)