2016 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナム少数民族の生活構造の緩やかな変質に対する未来志向型生業モデルの提唱
Project/Area Number |
16H05660
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西前 出 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (80346098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 広英 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (70346097)
堤田 成政 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (20650352)
淺野 悟史 総合地球環境学研究所, 研究部, プロジェクト研究員 (10747869)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 地理情報システム / 地域研究 / 救荒作物 / アカシア林業 |
Outline of Annual Research Achievements |
中部ベトナム山岳地域に位置するナムドンでの対象村にて現地調査を実施し,アカシアプランテーションの実施場所のGISデータ作成,および解析を行った。アカシア林業を主な生業としている少数民族は,定住化政策によって強制的に移住させられたため,政府から与えられた平場での生活を行っており,極度にプランテーションへの依存度が高くなりつつある。こうしたプランテーションを住民にとっての安定的な収入とするために,政府は各種支援を行っている。しかし,世帯ごとに保有するアカシア林業地は,地形条件や立地条件が異なっているにもかかわらず,こうした諸条件が考慮されないままに政府からの援助がなされている現状を明らかにした。また,この諸条件を数値化することを提案し,立地条件を勘案して作成した得点を一筆ごとのアカシア林業地に示し,援助の際に考慮すべき条件として具体的に示した。さらに,生育条件が悪く,アカシア伐採費用が大きくなる林業地でも援助がなされていない場所があることも空間的に示した。この成果は原著論文として纏めている。 また,プランテーションに強く依存した生業形態は自然環境の変化や換金作物の市場価格変動に大きく左右されることを指摘したうえで,こうした脆弱性を緩和するための地域資源としてホームガーデンの利用が適していることを示唆した。対象村の現状を確認するために現地調査を実施し,また,住民,現地大学関係者,政府関係者にもヒアリングを行い,ホームガーデン利用の拡充の可能性を検討している。現在,調査を鋭意進めると共に,各種研究会や学会でこれまでの成果を報告し,これを通じて今後の検討事項を絞り込むことが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査を予定通りに実施し,必要なデータを着実に収集し解析も始めている。成果の一部は原著論文,および学会発表にて公表できており,おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は,救荒作物の具体的な活用方法の提案,およびその成果の現地への還元と社会実装に向けて活動する。そのための現地でのネットワーク形成と現地大学教員の協力体制も強化したい。
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Research Products
(8 results)