2018 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカ熱帯雨林における在来知=科学知融合型の狩猟動物モニタリング手法の確立
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16H05661
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安岡 宏和 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (20449292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 啓裕 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (80722420)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | カメルーン / ブッシュミート / ワイルドライフ・マネジメント / 在来知 / 熱帯雨林 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、以下の事柄を実施した。(1) 蓄積したカメラトラップのデータ解析をおこなった。(2) これまで収集したデータの解析経過をふまえつつ、カメルーン東南部におけるカメラの配置プランを刷新してカメラトラップを補充し、2018年10月から2019年1月までカメラトラップを設置してデータ収集を継続した。(3) 現地ハンターの在来知に関するデータをひきつづき収集した。(4) 現地ハンターが地域生態系における野生動物の増減に関してどのような知識をもっているかについて検討する論文を執筆し、Frontiers in Ecology and Evolution誌に投稿した。現在、査読中である。(5) 動物の生息密度の推定について、従来の方法とカメラトラップ法を比較をする論文を執筆する予定であったが、分析に時間を要したために論文完成には至らなかった。2019年度前半には完成した論文を投稿する予定である。(6) 2019年3月にカメルーン東南部の研究拠点であるグリべ村にて、野生動物をふくむ森林資源にかかわる諸ステークホルダー(地域住民、保全当局、保全NGO、観光狩猟関係者、伐採会社など)をまじえてワークショップを開催し、森林保全・生物多様性保全のフレームワークについて意見を交換した。(7) 2018年6月15日に、京都大学アフリカ地域研究資料センター主催のセミナー「Human dimensions of wildlife and the future of wildlife dependent livelihoods in the 21st century」を共催し、コンゴ盆地における野生動物のサステイナブルな利用の課題と可能性について、アマゾンの事例および東南アジアの事例と比較しながら議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度は、参画研究者がそろって他の用務により多忙であったため、データ分析および論文執筆が予定通りに進まなかった。ただし、データ収集は予定通りおこなわれたこと、また、最終年度である2019年度には、参画研究者がこれまでより多くのエフォートを割く予定にしてあることから、2018年度の進捗の遅れは十分に挽回できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2019年度は、カメルーン東南部において補完的なデータの収集とワークショップをおこなうとともに、これまでの研究成果のとりまとめてAfrican Study Monographs誌にて特集号を刊行する。執筆予定の論文には、(1)熱帯雨林におけるダイカー類を対象とするカメラトラップ法による密度推定に関するテクニカルレポート、(2)カメラトラップ法と従来の方法との推定精度を比較してカメラトラップの有用性を検証するもの、(3)カメラトラップ法による密度推定精度を向上させるためにどのような在来知を活用することができるか論じるもの、(4)住民と森林資源をめぐる諸アクターの間で生じているコンフリクトの原因の分析、(5)コンフリクトを解消するために必要な、住民によるモニタリング手法について検討するもの、などが含まれる。
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Research Products
(7 results)