2016 Fiscal Year Annual Research Report
Rethinking the process of Islamization of Java through analyses of Javanese texts
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16H05662
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菅原 由美 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 准教授 (80376821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 恒二 東京外国語大学, その他, 名誉教授 (40174156)
青山 亨 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (90274810)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | イスラーム / 写本 / インド化 / スーフィズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、これまで史料的限界により、十分には議論されてこなかったジャワ地域のイスラーム化について、14世紀から19世紀のジャワ語史資料及び関連資料の開拓・再検討及び、南アジアのイスラーム化との比較分析を通して、再考することである。本年度は、初年度として、まず国内研究会を2回行い(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所共同利用・共同研究課題「ジャワ語テキストにみるジャワの宗教変容(2)」研究会との共催)、参加者の研究発表を通して、関連研究史の整理を行った。オランダ人研究者によるイスラーム諸王国時代の研究は非常に限られた史料しか利用していないこと、「九聖人」に関わる写本群の研究はほとんど進んでいないことが明らかになった。この研究会と同時に、マタラム王国王統記『ババッド・タナ・ジャウィ』(ジャワ文字、バライ・プスタカ版)の講読会を公開で開始し、ジャワ語史料の読解・分析方法についての議論を行った。ジャワ語韻文テキストの共同講読を公開で行う試みは国内でこれが初めてであり、ジャワ語韻文読解の様々な問題点が明らかになった。この講読成果は終了後に史料改題として発表する予定である。 また、ライデン(オランダ)やジャカルタ(インドネシア)の図書館に所蔵されているジャワ語写本の調査を行い、16世紀以降のイスラーム化、特にジャワの「九聖人」に関わる写本をデジタルデータで収集した。これらの写本についての概要をまとめ、来年度の調査に関わる部分について、今後分析を進める予定である。 さらに、ジャワ語文献コンコーダンス(JVDO)の完成度を上げるために、ジャワ語テキストの収集と整備を行った。これらを順次、コンコーダンスに掲載していくことを計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
写本調査の結果、16世紀の3点の写本以降は、17世紀から18世紀に書かれたということが確実にわかる写本は存在せず、19世紀に書かれた写本の内容を検討していくことになったが、計画の進展状況に関して、今の所、特に遅れは発生していない。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の主要な活動は、ジャワ島のイスラーム遺構・碑文が残る地域での遺構・碑文調査及び口承伝統調査である。チーム(国内メンバー及び国外メンバー)で、夏季にジャワ島北海岸部を中心に、約2週間かけて、調査を行う予定である。まず、春季に、昨年度の史料調査結果を発表する研究会を開催し、調査参加メンバー間での情報の共有を行い、その上で、夏のフィールド調査をどのように進めるかを検討し、日程、調査地、分担を決定する。調査終了後(秋・冬季)、日本において、数度、研究会を公開で開催し、夏の調査の成果について議論し、それらを元に、来年度以降の国際会議での発表内容や出版準備について検討する。また、昨年度バージョンアップした、ジャワ語文献コンコーダンスを、海外の研究者にも呼びかけて利用し、どのような調査が可能か、また今後さらに何を補足し、改善する必要があるかを引き続き検討する予定である。
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