2017 Fiscal Year Annual Research Report
Rethinking the process of Islamization of Java through analyses of Javanese texts
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16H05662
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菅原 由美 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 准教授 (80376821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 恒二 東京外国語大学, その他部局等, 名誉教授 (40174156)
青山 亨 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (90274810)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | スーフィズム / 写本 / 聖者信仰 / インド化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ジャワの宗教がヒンドゥー・仏教からイスラームに変化していく本研究の対象時期(14ー19世紀)のうち、17世紀以前は特に文字史料が少ないため、碑文や遺構などの史料との比較も行う予定を立てていた。そのため、2017年度は8月末に、中部ジャワ内陸部およびジャワ島北海岸部のイスラーム遺構調査をおこない、15ー16世紀に活躍したワリ(聖者)たちの墓や14ー17世紀のイスラーム遺構を見学し、写真撮影や史料の収集をおこなった。そして、帰国後の国内研究会では、各地のイスラーム遺構の特徴や疑問点を整理し、南アジアや他のイスラーム諸国のイスラーム遺構および墓、また墓でおこなわれている慣行について、違いを検討した。 さらに、国内研究会では、16, 17, 18, 19世紀の各時代のジャワのイスラーム文書についての整理が行われ、2018年度開催予定の国際シンポジウム(会場:大阪大学)において、議論されるべき点について検討がおこなわれた。そして、日本国内側の発表者の発表内容についても、概要を発表し、意見交換がおこなわれた。 また、イスラーム受容期に書かれたと考えられているマタラム王国王統記『ババッド・タナ・ジャウィ』(ジャワ文字、バライ・プスタカ版)についても講読会をおこない、序の読解が完了した。今後、この解題を作成し、発表する予定である。古ジャワ語と現代ジャワ語文献の比較をおこなうことができるコンコーダンスJavanese Documents Online(JVDO)についても、掲載用テキストの準備(打ち込み、校閲、タグ付け)作業を前年度より続けておこない、掲載の準備をすすめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、イスラーム遺構調査が終了し、関連資料の収集も十分におこなうことができた。また、その調査内容についての検討もおこなうことができた。2018年度の国際シンポジウムについても、検討すべき内容やプログラムについて明らかになり、準備は順調に進んでいる。今の所、遅れは生じていない。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年6月30日ー7月1日に、本研究課題「ジャワのイスラーム化再考」をテーマとした国際シンポジウムTransformation of religions as reflected in Javanese texts (2) Rethinking the process of Islamizationを行う。本研究の研究分担者、連携研究者、海外共同研究者に加え、海外から東南アジア・南アジアのイスラームの専門家に参加してもらい、これまでの研究成果を発表し、イスラーム化についての議論をおこなう。16, 17, 18, 19世紀各時代に書かれた文書として、最古の教義書・問答集、ジャワの聖者伝承、中東イスラーム地域発祥物語のジャワ・バージョン、王国史などを分析した発表がなされる予定である。発表されたペーパーは、シンポジウムでの議論を取り入れ、修正し、Javanese studies seriesとして出版する予定である。さらに、このシンポジウムの成果から、2019年度の国際会議での発表内容を決定する予定である。 コンコーダンスJavanese Documents Online(JVDO)掲載用テキストについて、これまで打ち込み・修正・タグ付けをおこなってきているので、それらを順次プログラムにアップロードし、シンポジウムまでに一旦の完成を目指す。
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