2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H05678
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
関尾 史郎 新潟大学, 人文社会・教育科学系, フェロー (70179331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町田 隆吉 桜美林大学, 人文学系, 教授 (50316923)
江川 式部 明治大学, 商学部, 兼任講師 (70468825)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 域圏論 / 中国古代 / 地域社会像 / 喪葬文物 / 河西地域 / 画像磚 / 簡牘 / 帛書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は,具体的なフィールドを設定し,そこにおける調査活動を通じて研究題目に掲げた課題の解明を目ざしている.初年度は,2016年8月に,河西地域の各地の遺跡を巡検し,さらに博物館の閲覧調査を実施した.具体的には,敦煌佛爺廟の画像磚墓,酒泉丁家閘5号墓と西涼王陵などの遺跡,敦煌市博物館,嘉峪関長城博物館,酒泉粛州区博物館,高台県博物館,甘粛省文物考古研究所,および甘粛省博物館などの博物館である.これにより,河西地域の一般的な状況を把握することができた.これを踏まえて,2017年3月に高台県博物館を再訪し,展示中の文物を対象とした悉皆的な閲覧調査を敢行し,博物館関係者に聞き取り調査を行なった上で,県内のおもだった遺跡(駱駝城址・許三湾城址とその周辺の古墓群など)の巡検を行なった.さらに河西地域との比較を目的として,祁連山脈により河西と隔てられている青海地域の画像磚を調べるために青海省博物館の參觀も行なった. 高台県博物館を再訪したのは,高台県の古墓からは,画像磚の他にも,簡牘・帛書・鎮墓瓶・木板画・帛画といった各種の文物が出土しており,多様かつ多数の喪葬文物に恵まれていることが最大の理由である.また木製品や紋様陶器などにも見るべきものがあることがわかった.ただし,発掘報告書が未刊であるため,これらの多くは具体的な年代を特定できないばかりか,出土墓さえ不明確なものがほとんどというのが現実である.喪葬文物の組合せを復元しない限り,課題の解明は望めない.そのために関連する情報やデータを収集・整理することに注力中で,その成果は可及的速やかに公表する予定である.また高台県以外の,敦煌や酒泉・嘉峪関についても,あらためて可能な範囲で喪葬文物に関する情報やデータを収集・整理を進める予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初より主たるフィールドに予定していた河西地域の主要な遺跡や博物館を訪問することができ,またその中で高台県に焦点を絞ることができたことは自己評価できる.また科研のメンバーによる研究報告を公表することを目的として,西北出土文献研究会を立ち上げ,第1回例会を開催することができた(2017年2月11日,於桜美林大学淵野辺キャンパス,關尾「河西地域の魏晉・〈五胡〉時代文物に関する近年の諸成果について」).今後も継続して開催し,報告を随時用意できるようにしたい.
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Strategy for Future Research Activity |
河西地域の喪葬文物の特質を解明するために,青海とともに,人的な交流が古代より盛んで,河西の喪葬文化が移入されたと思われるトゥルファンやクチャなど新疆各地で主要な喪葬文物の閲覧調査を進める必要がある.また新疆でも実際に発掘調査を担当した博物館や研究所の関係者から詳細な情報やデータの提供を求めたい.
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Research Products
(5 results)