2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H05678
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
関尾 史郎 新潟大学, 人文社会科学系, フェロー (70179331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町田 隆吉 桜美林大学, 人文学系, 教授 (50316923)
江川 式部 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (70468825)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 域圏論 / 中国古代史 / 地域社会像 / 河西地域 / 画像磚 / 鎮墓瓶 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)2018年夏に現地調査を挙行した.主たるフィールドとしている中国甘粛省の河西地域において,敦煌市博物館・玉門市博物館・金昌市博物館・張掖市(粛州区)博物館において,公開中の喪葬文物の実見・撮影に従事した.その結果,玉門市博物館・張掖市博物館では,新たな画像磚をはじめとする多くの文物の存在を確認できた.とくに玉門市博物館では,墓自体の詳細は不詳ながら,未知の画像磚墓の存在が確認できた.これにより,東は民楽県から西は敦煌市に至る河西地域の西部では,ほぼ全部の市県で画像磚墓が築造されたことが明らかになった.また従来,画像磚墓の存在が知られていなかった張掖市でも,早い時期に線刻の画像磚が作製されていたらしいことが博物館に展示中の磚から判明した.と同時に,後漢型鎮墓瓶の存在も確認できた.このほか,金昌市博物館では,一部紹介されている画像磚の全体像を把握することができた.ただ盗掘品の可能性が高く,出土地は金昌市域以外である可能性が高い.なお玉門市では,喪葬文物が出土した清泉郷や花海鎮を巡検した. 2)これらの成果は,2018年10月に開催された研究打合せ会で総括を済ませ,現在研究代表者が編集中の『河西魏晋墓出土磚画・壁画索引』(今年度刊行予定)に反映させる予定である.また研究代表者と研究分担者の町田が編集中の論集『磚画・壁画からみた魏晋時代の河西』(現在校正中)に寄稿しているプロジェクトのメンバーの個別論文にも一部取り込まれている. 3)2018年度も含め,今までの研究活動で獲得することができた個別的な知見は,研究代表者の個人ブログ(http://sekio516.exblog.jp)で断続的に発信中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主たるフィールドにしている河西地域の主要な博物館は全て閲覧することができ,またそれにより新たな知見を得ることができたため,この評価を下した.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は2019年度が最終年度であるため,小規模な補充調査を行なう以外は,成果の取りまとめに入る. 1)現在編集中の『河西魏晋墓出土磚画・壁画索引』をはじめ,『河西出土鎮墓瓶集成』など河西地域出土の喪葬文物およびその関連文物の索引・集成の刊行に向けた準備を加速化させる. 2)プロジェクトメンバーの研究成果を集めた論集『喪葬文物からみた魏晋時代の河西地域』の執筆準備に着手する. 3)1)・2)のために,プロジェクトの母体になった西北出土文献研究会を開催し,喪葬文物のうち,文字資料の読解を進めると同時に,プロジェクト外の研究者を招聘して研究発表を企画する.
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