2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H05678
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
関尾 史郎 新潟大学, 人文社会科学系, フェロー (70179331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町田 隆吉 桜美林大学, 人文学系, 教授 (50316923)
江川 式部 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (70468825)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 域圏論 / 中国古代史 / 地域社会像 / 河西地域 / 画像磚 / 鎮墓瓶 / 厚葬薄葬 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)主たるフィールドである河西地域の墓葬ならびにその出土資料について,同時代の中国世界の他地域の墓葬や出土資料と比較するため,関係する墓葬や博物館の閲覧調査を行なった. 2)墓葬については,安徽省亳州市の曹氏一族墓を参観した.河西地域の魏晋・〈五胡十六国〉時代の墓葬が単室墓から三室墓で構造が単純だったのに比べ,曹氏一族墓(後漢時代後期の二世紀後半から三世紀初か)のなかで公開中の二基すなわち張園村一号墓(十一の墓室を有する)・董園村二号墓(三室を基本として複数の耳室・偏室を有する)は複雑な構造をもっており,墓門の画像石と合わせて厚葬時代の中原地域の墓葬を代表する.周縁に位置する河西地域の薄葬時代の墓葬とは大きな違いがあることが認識できた. 3)安徽省馬鞍山市の朱然墓とその一族墓(三国孫呉時代の三世紀中期)は墓葬自体は小規模だが,多くの漆器が出土している.漆器の少なくとも一部は皇帝である孫権から下賜されたものを含む可能性があるが,河西地域では敦煌の新店台墓群や仏爺廟墓群などに見られるように,門楼の磚に描かれていた神獣がここでは漆器の表面に描かれている.かかる神獣は,三・四世紀にかけての時期,広く人口に膾炙していたことが明らかになった. 4)なお上にも述べた厚葬と薄葬の問題については,従来,三世紀初頭に曹操によって出された薄葬令は河西や遼東などの周縁地域には及ばず,その結果河西ではそれ以降も厚葬が維持され,それが磚画墓の築造につながったという見方が一般的だったが,涼州刺史は指示に忠実に厚葬を禁止しているので,それを破る,ないしは無視するような在地勢力が存在しており,そのような勢力が新城墓群や西溝墓群の磚画墓の築造を主導したと解釈できるのではないか.
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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