2017 Fiscal Year Annual Research Report
"Missing Link" in Modern Indonesian History: Japanese Military Networks Connecting between Pre- and Post-War Indonesia
Project/Area Number |
16H05679
|
Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
山本 まゆみ 宮城大学, 基盤教育群, 准教授 (60709400)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉沢 愛子 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 名誉教授 (00203274)
Horton William.B 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携准教授 (00625262)
高地 薫 神田外語大学, 外国語学部, 講師 (30345178)
スリョメンゴロ ジャファール 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (40600440)
山崎 功 佐賀大学, 芸術地域デザイン学部, 教授 (60267458)
後藤 乾一 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究科), 教授 (90063750)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 日本占領期インドネシア / 日本軍政 / オランダ領東インド / 東西冷戦期インドネシア / 蘭・日・イ人脈 / 宣伝、メディア / 医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、インドネシア日本軍政ネットワークの連続性が続いていたと、本研究で仮説をたてた東西冷戦期、特に日本軍政と緊密な関係を持っていたスカルノ政権の終焉1960年代半ばまでの時期を研究を中心に据えた。途中経過報告及び成果発表を兼ね、2018年2月にThe End of the Postwar Indonesian Regime: Knowledge Production and Indonesia's Foreign Interactions in the 1950s-60sというテーマで、国立シンガポール大学Douglas Kammen教授を基調講演者として招聘し、Special Symposium on the History of Modern Indonesiaを開催した。 史資料調査収集としては、戦前の日本語およびインドネシア語の新聞を収集、分析した。希少な資料が多いことから、デジタル化も進めている。 平成28年度に引き続き学術ネットワークの分野で特に、医療を中心に推進している。日本の医療、軍医の人脈および医療知識のネットワークがインドネシア植民地時代のオランダ、インドネシアの現地医療関係者、および日本占領期後のインドネシア医療にかかわる人脈および知識の継承にも見出しことができた。国際学会Eroseasにて研究代表(山本まゆみ)及び分担者(Horton, William Bradley)が占領期の医療に関する発表もした。 人脈をたどる過程で、日本国内の特定の地域とインドネシアの関りも見いだされた。沖縄に着目した研究を進め、今後の日本の地域社会とインドネシアの結びつきの研究へ発展する糸口もつかんだ。このことは、後藤乾一が「戦前期沖縄とインドネシアー又吉武敏の『南方関与』を事例に」で提示している。 日本語英語ホームページも開設し、国際波及への地盤整備をした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度(本研究初年度)は、海外からの研究者を招聘し、シンポジウムを開催しながら、本研究の目的を海外へ発信した。シンポジウムでは、日本語史資料も問題もあり海外インドネシア研究者にとって困難な時期である日本占領期インドネシア研究を相互協力をしながら推進する地盤を作った。この研究者との国際交流は、29年度も引き続き続いている。 平成29年度は、初年度ほどの頻回に国際シンポジウムは開催しなかったが、国立シンガポール大学のダグラス・カメン教授を招聘し基調講演を行ってもらった。基調講演では、本研究で調査が進まなかった東西冷戦期のインドネシアについて米国の存在を含めたアプローチの必要性を説かれ、研究方向の微調整の必要性も確認できた。 当該年度は、積極的に当時の史資料を収集し、精査分析をする地道な作業に専念し、研究者にとっての基盤整備を中心に行う年度となった。また、ホームページを立ち上げ、残り2年で成果を上げる土壌の整備を中心に行った。 平成29年度の活動は、4年間の研究期間で結果を残すための下準備期間であったため、決して当初の計画以上の研究推進は見られなかったものの、おおむね順調に進んでいるといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
残り2年間という研究期間で、平成30年度からはホームページを拡充し日本軍人脈、ネットワーク図を公開できるように、また収集した史資料のデジタル化および日本語史資料の英文要約をホームページにアップする。ホームページ担当の研究分担者に情報を集約することが、研究を推進するうえで最も重要な整備になる。ネットワークおよび人脈図の大枠を作ることで、加筆を続けていくことが、明確な歴史の連続性また関係性を具現化することになるからである。このことを推し進めるために、収集した新聞雑誌の史資料を中心に情報を集め、入力する。また、各分担者もホームページにアクセスし、入力するという作業を進めていくことが重要になる。内容は、英語でも公表するため、今までの招聘研究者にも協力依頼をする予定である。 研究最終年度には、本研究代表、分担、および海外招聘講演者の論文を英語でまとめ、図書を出版することも目標としているため、平成30年度も引き続き毎月の定例研究会を開き、研究発表を積極的に行うことで、今まで以上に研究を推進することができると考える。 今後は、まだ多くの史資料が発見されていない、戦後間もない時期のインドネシア社会に関する史資料を、終戦真っ先にインドネシアへ上陸した英豪軍の当時の史資料を発掘する。イギリス国立公文書館、オーストラリア戦争資料館、国立公文書館での中長期の文書調査をすることで、公文書発掘の可能性を高める努力をする。また、同時に当時のことを綴った回想録も収集することとすることで、公文書の発見という不確実な状況を補完できるような資料も収集する。
|
Remarks |
史資料の性格上一部非公開
|
Research Products
(22 results)