2018 Fiscal Year Annual Research Report
王家の谷の王墓に記された「天井碑文」の画像史料化と公開に向けた調査研究
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16H05680
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Research Institution | Higashi Nippon International University |
Principal Investigator |
菊地 敬夫 東日本国際大学, エジプト考古学研究所, 教授 (10367112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 真知子 東京工芸大学, 工学部, 名誉教授 (30226005)
犬井 正男 東京工芸大学, 工学部, 名誉教授 (50125902)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | デジタル画像 / 撮影環境 / 文化遺産活用 / 資料公開 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、2019年3月に約2週間の現地調査を実施した。しかし、天井碑文のある王墓での調査について、管理当局との折衝が難航し、今期の調査のターゲットであった、セティ1世王墓での撮影許可を得たのが調査日程の直前となり、撮影と測量という現場作業に十分な準備体制を整えるには時間的な問題が生じた。そのようななかで、調査地では、セティ1世王墓における入念な撮影環境のチェックを行い、撮影手法の再検討を行った。また、アメンヘテプ3世王墓において、壁画の高精細デジタル画像を撮影した。これは、次に述べるように研究資料のさらなる活用に資する、多様なデータを取得する目的で行った。 さて、本研究の目標の一つである資料の公開について、多様な観点から検討する必要がある。すなわち、本研究の成果物となる画像史料は、研究者にとっては、一次資料となることは明瞭である。しかし、さらに、このような資料は、研究資料としてのみならず、現地での社会教育や学校教育においても、活用することができるのではなかろうか。本研究チームは、このよな問題意識をもって、本研究が、現地の遺跡等の文化遺産に関する意識の向上に役立つ可能性を探ってきた。 そこで、本年度は、資料公開に際してステークホルダーとして考えられる現地の学校等についての基礎的事項を確認することを調査項目に設定し、現地でそのリストを作成した。 このような研究の展開は、今年度、本研究グループのもつ王墓の高精細画像史料を用いて、天井碑文ではないが、実際の壁画と同寸の画像を打ち出して、王墓の壁面を再現しつつ、展示・公開するという機会を得たことと深くかかわっている。このように、今後とも研究の成果物の、研究資料としての価値と、学校教育、ならびに社会教育における活用においてもたらされる価値について、検討を重ねていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
天井碑文の撮影作業を、今年度は実施できなかった。ただし、一方では、研究の公開に向けて、その受け手となるステークホルダーについて検討を開始しており、この面では、順調に進んでいる。これらの状況から総合的に判断して、やや遅れているとの状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度には、天井碑文の記録作業を順調に進めていきたい。現在、すでに、セティ1世王墓においての記録作業の準備体制を整えており、調査を実施する予定である。
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