2020 Fiscal Year Annual Research Report
王家の谷の王墓に記された「天井碑文」の画像史料化と公開に向けた調査研究
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16H05680
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Research Institution | Higashi Nippon International University |
Principal Investigator |
菊地 敬夫 東日本国際大学, エジプト考古学研究所, 教授 (10367112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 真知子 東京工芸大学, 工学部, 名誉教授 (30226005)
犬井 正男 東京工芸大学, 工学部, 名誉教授 (50125902)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 古代エジプト / 宗教文書 / テキスト性 / 天井碑文 / アムドゥアト書 / 王家の谷 / 王墓 |
Outline of Annual Research Achievements |
Covid-19ウイルスによるパンデミックの影響で本年度も調査地であるルクソールへは赴くことができなかった。そこで、これまで同地で撮影したデジタル画像を利用し研究を継続した。王家の谷の王墓にある「天井碑文」のテキスト性について、「アムドゥアト書」との比較を中心に研究を進めた。これらにはテキストの途中に文字の記されていない空欄があるという共通点がある。アメンヘテプ3世王墓に書かれている「アムドゥアト書」のデジタル画像で細部を観察すると、テキストを壁面に記す作業を復原することが可能である。上述の空欄がどのようにして生じているか二つのパターンで説明することができた。 一つは、王墓の壁面にテキストを記す際に参照した原本のパピルス等に、すでに空欄がテキスト中にある場合である。もう一つは、文書を壁面に書き写す際に、原本にあるテキストと同じ行数を壁面に設けることで、原本と壁面にある行の長さに違いが生じる場合である。壁面に設けた行が原本のそれよりも長い際に、ひとつの行に記すテキストの分量が変わらなければ、壁面に設けた行の最下部に空欄が生じる。 このような視点でトトメス3世王墓やセティ1世王墓の「天井碑文」を観察すると、そこに見られる空欄についても、同様な理由でテキスト中に空欄が生じていると考えて矛盾は見られない。空欄が生じる背景には、宗教文書である「天井碑文」「アムドゥアト書」を王墓の壁面に書き写す際に、原本であるものを可能な限り忠実に再現すること(文書の行数を変更しない、空欄は空欄として残すなど)で文書の真正性を担保し、当該の宗教文書に期待される機能が果たされることを追求したと考えられる。 したがって、「天井碑文」を研究資料として記録、公開する際には、そのテキストのみではなく、周辺情報も含めた発表の重要性が再認識された。 なお研究成果の一部は、英文図書に発表されることが確定している。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)