2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H05683
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡村 秀典 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (20183246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 佑介 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (50452298)
稲本 泰生 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (70252509)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 考古学 / 美術史学 / 仏教学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、北魏から唐代にかけての龍門石窟とそれに関連する仏教文化について、京都大学人文科学研究所(以下「人文研」という)などに所蔵する戦前の写真や拓本を整理し、それをもとに龍門石窟研究院をはじめとする中国の研究機関と共同で現地調査をおこなうことを目的としている。令和元年度の研究成果は以下のとおりである。 (1)龍門石窟研究院との協定により進めている水野清一・長廣敏雄『龍門石窟の研究』(座右宝刊行会、1941年)の中国語版については、本学と大象出版社との出版契約が2019年3月に締結され、岡村を中心に編集作業を進めた。(2)東京大学と人文研に所蔵されている戦前の石窟写真について、東京大学の平勢隆郎教授の協力のもと、北京の清華大学出版社から『清末民初中国文化遺産図片史料集』石窟巻(全4巻)として出版する計画を進め、雲岡石窟は岡村、龍門石窟は稲本泰生、鞏県・響堂山・天龍山石窟は向井佑介が分担して編集作業を進めた。(3)人文研に所蔵する龍門石窟造像記拓本を整理した。稲本を班長とする「龍門北朝窟の造像と造像記」班において古陽洞の代表的な北朝造像銘はすべて会読し、ブロックごとに造像銘の悉皆的な解読を進めた。(4)岡村・稲本は2019年8月に河南省北部に所在する浚県大仏寺・宝山霊泉寺・小南海石窟・修定寺塔・南北響堂山石窟などを実地に調査し、合わせて業城博物館・安陽市博物館・邯鄲博物館などで出土品を観察した。(5)仏教儀礼に用いられた青銅製仏具については、洛陽市文物考古研究院と共同で調査した洛陽北魏墓出土品の報告を一部修正し、同研究院が編集している『洛陽考古』雑誌に再投稿した。(6)向井佑介は研究成果を『中国初期仏塔の研究』(臨川書店、2020年3月)として出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)龍門石窟研究院との協定により進めている水野清一・長廣敏雄『龍門石窟の研究』(座右宝刊行会、1941年)の中国語版については、本学と大象出版社との出版契約が締結されたが、委託している翻訳が本年度中には完成しなかったため、出版には至らなかった。 (2)東京大学と人文研に所蔵されている戦前の石窟写真について、北京の清華大学出版社から『清末民初中国文化遺産図片史料集』石窟巻(全4巻)として出版するべく編集作業を進め、岡村担当の2巻と向井担当の1巻は原稿が完成した。 (3)人文研に所蔵する龍門石窟造像記拓本については、古陽洞の造像銘をブロックごとに悉皆的な解読を進めた。 (4)岡村・稲本は2019年8月に河南省北部に所在する北朝石窟を実地に調査したが、2020年3月に予定していた山東方面の調査はCOVID-19感染拡大により中止し、その経費を次年度に繰り越し申請した。これが研究のやや遅れている最大の理由である。 (5)仏教儀礼に用いられた青銅製仏具については、昨年度に調査した洛陽北魏墓出土品の報告をまとめ、洛陽市文物考古研究院が編集している『洛陽考古』雑誌に投稿した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)北京の清華大学出版社から出版予定の『清末民初中国文化遺産図片史料集』石窟巻(全4巻)龍門石窟巻の原稿を完成させる。 (2)人文研に所蔵する龍門石窟造像記拓本については、稲本を班長とする「龍門北朝窟の造像と造像記」班において古陽洞の悉皆的な解読を完成させる。 (3)COVID-19感染が収束すれば、山東方面の実地調査を実施し、感染拡大が継続しているのであれば、日本に所蔵される南北朝時代の青銅製仏具を調査する。
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