2016 Fiscal Year Annual Research Report
自動車リサイクルの国際比較(東・東南アジア圏、欧州圏、北中米圏を対象として)
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16H05687
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
外川 健一 熊本大学, 法学部, 教授 (90264118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 新 山口大学, 国際総合科学部, 准教授 (30436745)
佐々木 創 中央大学, 経済学部, 准教授 (40634100)
近江 貴治 中村学園大学, 流通科学部, 准教授 (50613832)
劉 庭秀 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (70323087)
浅妻 裕 北海学園大学, 経済学部, 教授 (70347748)
木村 眞実 熊本学園大学, 専門職大学院会計専門職研究科, 准教授 (80516865)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自動車 / リサイクル / 自動車中古部品 / リビルト部品 / アメリカ / 東南アジア / EU / トラック |
Outline of Annual Research Achievements |
東・東南アジア班では、マレーシアの中古トラック市場調査、日本からのトラック中古部品、ハーフカットを使用した再生車両製造ビジネス(リビルト)の現地調査を行った。その結果欧州とくにイギリス(スウェーデン)からの中古リペアビジネスも、マレーシアにおいては堅実に市場を確保していること、マレーシアにおける今後の排ガス規制の強化、および中国製の新車トラックの輸入増から、日本からの中古トラック、トラックハーフカット、エンジン等の輸出ビジネスは大きな岐路に立っていることが判明した。また、二輪のリサイクルについては、ベトナムに焦点を当て、国内で情報収集・文献調査を行った。さらに自動車鉛バッテリーリサイクルについて、韓国の鉛二次精錬メーカの存立要因を調査し、考察を進めた。 北米班は、カナダ・米国にて資料収集、業界団体の研究会に参加し、意見交換を行った。その結果シュレッダービジネスが確立した1970年代以降、米国の自動車リサイクルビジネスには大きな変化はないという仮説を立てた。 EU班では、自動車メーカーを持たないが、関連業界が一体となって自動車リサイクルに取り組んでいるオランダや、自動車メーカーはあるものの、リサイクル率が依然として法規制水準を満たしていないイタリアの状況について現地調査を行った。なお、EUからの中古車の輸出先としては、東ヨーロッパ(ドイツ、オランダ等)とアフリカ諸国(イタリア等)が主であることが判明した。また、オランダの自動車リサイクル率は95%程度と高水準であるというが、それを支えているポストシュレッダーテクノロジーに関しては、日本に比して発展途上にあるようであった。 なお、わが国の自動車リサイクル法の10年間の総括を進めながら、経済地理学会2016年大会において、本研究メンバー3名によるランドテーブル「自動車リユース・リサイクルの経済地理学」を企画・発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東・東南アジア班、北米班、欧州班とも予定していた現地調査を着実に行うことができた。 東。東南アジア班では、とくに日本からの自動車中古部品の再輸出拠点であるマレーシアに焦点を当て、日系現地法人のサポートもあって、幅広く中古トラック、トラックビジネスについて現地調査ができた。また韓国やベトナムについても、自動車メーカー・二論メーカー。現地研究機関・コンサルタントの協力もあり、次年度以降の現地調査の足掛かりを得た。 とくに経済地理学会2016年大会において、本研究メンバー3名によるランドテーブル「自動車リユース・リサイクルの経済地理学」を企画・発表できたこと、2016年10月米国メリーランド州ボルチモアで開催されたARA(アメリカ自動車リサイクラー協会)の国際セッションで、日本の現状を紹介しながら米国、英国、ポーランドの実情に関して討論ができ、それぞれの国々の業界団体と今後の研究上の連携が見込まれたことは大きい。 そのほか研究論文も数本、公にすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
東・東南アジア班では、引き続きマレーシアの中古トラック市場調査、再生車両製造ビジネス(リビルト)の現地調査を行う。その際に新車トラックからハーフカットや中古エンジン等のリビルトまでの製品連鎖を意識しながら、調査を進める。 二輪のリサイクルについては、ベトナムにて現地調査を行う。さらに自動車鉛バッテリーについて、韓国の二次精錬メーカの存立要因を中心に研究論文をまとめ、次世代自動車のバッテリーリユース、リサイクルの動向も調査する。 北米班は、収集した文献整理を行いつつも、28年度末に立てた仮定の検証を進めつつ、日本で大きな政策的変化が始まった1990年代の米国の状況を文献調査を中心に調査を進める。また、昨年培った現地関連業者への聞き取り調査も引き続き行う。 EU班では、中古車の輸出先としての東ヨーロッパの状況を調査する。対象国はポーランドを主とし、中古車輸出先のドイツと受け入れ先のポーランドにおいて中古車・自動車中古部品が両国内外でどのように流通しているのかを明らかにしていく。また、EUにおける産業政策・環境政策上の現状と課題について整理を進める。
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Research Products
(7 results)