2019 Fiscal Year Annual Research Report
太平洋島嶼部における強制移住経験者の共感による連帯と排他性の生成に関する研究
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16H05688
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
風間 計博 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (70323219)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 文化人類学 / 共感 / 排他性 / 移民 / エスニシティ / 太平洋島嶼部 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、共感・感情に関わる文献収集、ならびに移住経験等の歴史記憶に関する文献収集を行い、理論的に検討を加えた。 また、キリバス共和国の首都タラワにおいて、実地調査を行った。主たる対象は、フィジー諸島のランビ島で生まれ育った後、首都スヴァで教育を受け、キリバスに移住してきた人々とその家族である。世帯の長は、キリバス人である父親の土地を相続するために、1990年代後半にランビ島からタラワに移住し、2010年代前半に死去している。その姪は、フィジーおよびキリバスで育ち、オーストラリア留学を経験した。さらに、キリバスの官僚を経て、タラワで国際公務員として働いている。彼女は、ランビ島に住むバナバ人の経済活動や援助依存等について、批判的な言明をしていた。一方、キリバス人である世帯の長の妻は、バナバ人の神話的過去や政治闘争について語りながら、バナバ人への共感を示していた。このように、エスニシティの境界を越えた、ライフストーリーや感情に基づく自己/他者認識のあり方を把捉することができた。 加えて、太平洋戦争に関わる文献研究を行った。戦時中のバナバ島において、日本軍によって島住民の一部が殺害されたほか、多くの人々が島外に強制退去させられたために、バナバ人はディアスポラ化した。こうした苛烈な歴史経験の伝承が、バナバ人たちの連帯意識の生成に関与している可能性を見出すことができた。 さらに、キリバスおよびフィジーにおいてこれまでに収集した民族誌資料および文献研究に基づき、バナバ人の歴史経験に関わる民族誌の執筆を開始し、研究成果の公表に向けて取り組んだ。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)