2016 Fiscal Year Annual Research Report
平和構築と政治的排除~なぜ過ちは繰り返されるのか~
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16H05698
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
東 大作 上智大学, グローバル教育センター, 准教授 (90608168)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 平和構築 / 人間の安全保障 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、本科研を利用して、1)2016年6月にニューヨークに出張し、国連幹部へのインタビューを行うと同時に世界国連学会(ACUNS)で発表を行った。また夏のアフリカ調査に向けた協力を国連から取り付ける交渉を行った。2)8月にケニアとエチオピアに出張し、南スーダンの和平プロセスについて調査を行った。在エチオピア南スーダン大使や、元南スーダン高等教育担当大臣、そして国連やアフリカ連合、東アフリカ地域機構で南スーダンの和平調停をしている人たちへのインタビュー実施。3)11月にその結果を、ニューヨークの国連本部で発表した。国連本部では、平和構築支援オフィス、PKO局、政務局、フィールド支援局の四つが合同で私の講演会を開催し、発表する機会を得た。またそれぞれの局のトップやNo2にも会って個別に調査報告を行った。4)2017年2月に、ケニアに再度出張しPKOセンターでの国連PKO幹部向け研修で講師として調査を報告すると同時に、国連幹部から聞き取りや調査を行った。 こうした出張の成果を、雑誌「外交」の9月号において論文を掲載。また8月27日にNHK国際放送に出演、南スーダンの和平プロセスの現状や課題について解説を行い番組は世界中で放送された。また9月20日のNHKクローズアップ現代に出演し、自らインタビューしたビデオも紹介しつつ、南スーダン和平プロセスについて解説した。11月30日にもクローズアップ現代に出演し、駆けつけ警護が始まった自衛隊の南スーダンでの活動の難しさについて解説しつつ、自衛隊撤収を見据えた代替案について提示した。また世界国連学会(ACUNS)からもインタビューを受け南スーダン和平について解説。その英語インタビューは、ACUNSのウエブサイトやニュースを通じて世界に伝えられた。また2017年3月「人間の安全保障と平和構築」という本を自分が編著し、日本評論社から出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
南スーダンで2016年7月に軍事衝突が発生し、南スーダンの中での調査ができなくなったが、その分、エチオピヤやケニアで、和平調停に携わる人たちや、南スーダン大統領派であるう在エチオピア南スーダン大使や在ケニア南スーダン大使、他方、元副大統領派で反政府勢力の人たちへのインタビューを多数行うことができた。その結果を、雑誌外交や、NHKのクローズアップ現代、NHKの国際放送、世界国連学会(ACUNS)のインタビューなどで世界に発信することができたことや、上智大学、ニューヨークの国連本部、東京大学(2017年1月9日の国際カンファレンスの基調講演)、大阪大学(2017年1月15日の国際カンファレンスでの発表)などで発表することができた。また2017年3月には、日本評論社より「人間の安全保障と平和構築」という本を、自分の編著で出すことができ、4月17日の読売新聞で大きく紹介記事が出るなど、研究成果を発表する場にも恵まれた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年は南スーダンの調査を継続すると同時に、シリアとイエメンの和平プロセスの調査をすることが大きな目標である。シリアもイエメンも国の中に入ることは難しいため、国連の調停チームがいるジュネーブ(シリア)やアンマン(イエメン)などを訪問して、調査を行いたいと考えている。引き続き、メデイアでの発信も含め、本研究の成果を広く社会に伝え、一般の人の関心にこたえていくと同時に、日本の外交政策への貢献も果たしていきたい。
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