2016 Fiscal Year Annual Research Report
選好の異質性を考慮した小口医療保険の制度設計―LCMを用いた選択実験
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16H05703
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福井 清一 京都大学, 農学研究科, 教授 (90134197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 加奈 釧路公立大学, 経済学部, 准教授 (00552001)
山崎 幸治 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (30319818)
中澤 港 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (40251227)
高篠 仁奈 東北大学, 農学研究科, 助教 (80507145)
若松 宏樹 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 中央水産研究所, 任期付研究員 (90722778)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マイクロインシュランス / LCM分析 / 保健・医療 / 貧困削減 |
Outline of Annual Research Achievements |
途上国における貧困層を対象にした小口医療保険制度は参加率が低く、多くのプログラムが中止に追い込まれている。本研究では、より多くの貧困世帯が参加できル持続的な小口保険制度とは、どのようなものであるかを検討するため、選択的実験の手法を用い代替的な小口保険制度を設計することを目的とした研究である。 H28年度は、選択的実験の一手法である潜在的クラスモデルを援用することにより、代替的な貧困層向け小口医療保険のスキームを設計するための情報を収集した。そのために、福井、若松、高篠が、大学院生2名の協力を得て、カンボジアのタケオ州農村において、2月~3月の約1か月の間、農村調査を実施した。 具体的には、タケオ州、トラムカク郡の16か村の約400世帯を対象に選択的実験を行った。この実験では、まず、保険スキームを5つの属性に分け、それぞれの属性ごとに4~5のレベルを設定することにより、その中から無作為に各属性ごとのレベルを選ぶことにより、24の代替的スキームを作成する。次に、各被験者に対し、この中から無作為に4つのスキームを選び1セットとし4セットを選択する。その上で、被験者に、4組のセットごとに最も好ましいスキームを選択してもらう。 以上のような実験を行った後、各被験者の家計調査を行い、家計特性についての情報を収集した。家計調査の一部は、タブレットを用いて行い、そのほかは紙媒体の調査票を用いて実施した。紙媒体の調査票のデータ入力に関しては、カンボジア人助手に作業を委託した。 以上のようにして収集した情報は、H29年度に分析し、研究論文として公表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カンボジアでの調査は順調に進んでいるが、インドについては、予算が大幅にカットされたため、H29年度に規模を縮小して実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を実施するには、保険スキームを選択するに当たって重要な役割を果たすと考えられる、各被験者のリスク選好、および、時間選好についての情報が必要となる。しかし、H28年度の調査においては、予算面でも時間的にも余裕が無く、被験者のリスク選好、時間選好の測度を測る作業は実施できなかった。 そこで、H29年度、4月~5月にかけて、前年度と同じ被験者を対象に、リスクへの嗜好、時間選好を測定するための実験ゲームを実施する。この作業には、福井、高篠が参加し、委託期間を含めて約1か月の期間が必要となる。 リスク選好、および、時間選好の測定結果、および、前年度に収集したデータを用いて、潜在的クラスモデルによる分析を行う予定である。分析作業は、主として若松、福井、高篠が行う。 年度後半には、インド、ビハール州における行商人を対象にした小口医療保険制度の実態調査を行う予定である。
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Research Products
(2 results)