2019 Fiscal Year Annual Research Report
トルコ古代都市テオスのディオニソス神殿に関する建築学及び考古学的国際共同調査
Project/Area Number |
16H05756
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
吉武 隆一 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (70407203)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヘレニズム建築 / 王宮 / オーダー / ペリスタイル / 半円柱 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引きつづき、ギリシア古代都市ペラの王宮建物における建物Iの調査と研究を行った。第3次となる2019年度の調査では、5週間の現地調査を行い新たな資料を入手した。建物遺構については保存公開に向けてクリーニング(表土清掃)が進んだことから、2018年度までに作成していた平面図(縮尺1/50)に加筆して実測図の整理を進めた。またペラ考古局博物館に収蔵されている部材や、ビザンツ時代の壁体から考古局の手で取りだされた部材を含め、19個の建築部材の詳細実測図作成(縮尺1/10)と写真撮影を行った。その中には、博物館所蔵のイオニア式柱頭、コリント式半柱頭や、イオニア式のコーニス(軒部材)、天井の部材片など上部構造の重要な手がかりとなる部材が含まれていた。 帰国後これらの一次資料の分析に取り込んだ結果、以下のことが明らかになりつつある。まず建物Iの遺構平面については中庭(28×32.5 m)を四方からストア(列柱廊)が取り囲むペルスタイル形式で、中庭に3つのエクセドラが建ち、ストアの背後にあった諸室の出入口等が確認できた。北翼部の中央にあるアンドロンの前室と主室の壁の位置や、北東部の裏口の位置、また東翼部の諸室の外形などが確認できた。上部構造については、発掘日誌の部材分布図を参照しつつ、これまでの調査で作成した76個の部材カタログと25個の詳細実測図を元に、原位置を推定した。その結果、列柱廊は、2階建てと考えられ、1階はドリス式円柱、2階はイオニア式の半円柱の可能性が高いこと、またストア背後の諸室の入口にもイオニア式半円柱やいわゆるソファー式壁端柱が使われた可能性が高いことが確かめられた。しかし王宮は古い建材を再利用しながら幾度か建替えられた形跡があることから、復元考証と共に建設フェーズを今後明らかにする必要がある。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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