2017 Fiscal Year Annual Research Report
バイカル湖最古堆積物域に発現するメタンハイドレートの多様性と生成機構の解明
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16H05760
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
南 尚嗣 北見工業大学, 工学部, 教授 (40241426)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | メタンハイドレート / バイカル湖 / 最古堆積物 / 化学・物理解析 / 国際研究者交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
交付申請書に記載した研究目的および研究実施計画に沿って、研究調査に関する準備会議を電子メール会議として実施して運営委員会を設置した。その後、南湖盆南岸沖のバイカル湖最古堆積物が存在する水域のうち平成28年度調査より水深の深い水域および南岸沖との比較のための南湖盆北岸沖における物理探査候補水域の決定をおこなった。平成29年6月に物理探査を実施し、南湖盆の水深約300 mより深い全ての水域においてマルチビームエコーサウンダー物理探査を完了した。物理探査データの解析を行い、南湖盆全水域の湖底3次元マップ作成を完成した。 その後、湖底3次元マップとこれまでの物理探査データおよび文献情報等を合わせて、湖底表層堆積物コア採取に基づく調査候補サイトを検討した。その際、隣接する湖底表層でも湖底深部構造が異なることが判明し、本申請研究目的である試料採取に基づく生成環境解明のためには、一部調査に関しては平成30年度に延期した。 一方、本学予算による調査計画を立案し、調査船の傭船日程、事前準備の日程、各機関からの参加者、作業内容等を決定して、平成29年8月に海外共同研究者および国内共同研究者の参加による調査船を用いた湖底コア採取に基づく研究調査を実施した。一部の調査は平成30年度調査の情報を得ることを目的に、本申請研究の調査サイトと同じ水域で実施した。この調査の結果、南湖盆南岸沖の平成28年度調査で発見したメタンハイドレート(MH)サイトにおいて、MH存在域の広がりに関する知見を得た。さらに比較研究調査の中央湖盆において新たに3箇所のMHサイトを発見した。平成30年8月の湖底コア採取に基づく研究調査では新たに4箇所のMHサイトを発見した。両調査ともに、採取後のコア試料は本申請研究の研究実施計画に沿って前処理および土質試験等を実施し、サブサンプリングした試料は化学・物理解析に供した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請した研究計画および平成29年5月までに実施した準備会議に沿って、研究調査に関する運営委員会を設置した。文献情報および予備調査結果を基に平成29年度の物理探査候補水域およびコア採取候補水域の決定をおこない、フィールド調査計画案(調査船傭船日程、事前準備日程、参加者、作業内容等)について、海外共同研究者および国内共同研究者と会議のうえ決定した。調査に用いた調査船と湖底堆積物コアを採取するための重力コアラーも、研究計画に沿って準備をおこなった。 計画に沿って調査を実施した結果、南湖盆南岸沖の平成28年度調査で発見したメタンハイドレート(MH)サイトにおいてMH存在域の広がりに関する知見を得た。さらに比較研究調査の中央湖盆において、新たにMHサイト(合計3箇所)の発見に成功した。その際、隣接する湖底表層でも湖底深部構造が異なることが判明し、本申請研究目的である試料採取に基づく生成環境解明のため、一部調査に関しては平成30年度に延期した。 一方、本学予算による調査計画を立案し、調査船の傭船日程、事前準備の日程、各機関からの参加者、作業内容等を決定して、平成29年8月に海外共同研究者および国内共同研究者の参加による調査船を用いた湖底コア採取に基づく研究調査を実施した。一部の調査は平成30年度調査の情報を得ることを目的に、本申請研究の調査サイトと同じ水域で実施した。これらの情報を基に実施した平成30年8月の湖底コア採取に基づく研究調査では、新たに4箇所のMHサイトを発見した。 両調査ともに採取した堆積物コア試料およびMH試料の測定で新たな知見が得られ、英文学術論文誌および国内外の学会にて研究発表をおこなった。従って、交付申請書の目的に対する達成度はおおむね順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書の研究実施計画に沿った調査において南湖盆南岸沖で発見したメタンハイドレート(MH)サイトでは、結晶構造がⅠ型のMHと構造Ⅱ型のMHが半径0.2 km程の狭い範囲に共存していることを明らかにした。バイカル湖において中央湖盆ククイキャニオン域以外で結晶構造Ⅱ型のMHが発見されたのは南湖盆南岸沖が初めてである。構造Ⅰ型と構造Ⅱ型が狭い範囲に共存している事実は、特異的なMH生成環境を意味する。平成28年度調査で発見したメタンハイドレート(MH)サイトにおける平成29年度および平成30年度の追加の調査によって、MH存在域の広がりに関する知見も得ることができた。さらに比較研究調査の中央湖盆において、新たにMHサイトを発見した。 今後は、これらのMHサイトの水域および比較研究調査の中央湖盆から北湖盆において詳細な物理探査をおこない、湖底状態だけではなく湖底深部情報の取得を試みる。その上で、得られた湖底堆積物コア試料を交付申請書に沿って化学分析(ガスおよび水)、物理分析(結晶解析)および土質分析に供し、物理探査情報と合わせて考察を試みる。 本研究代表者らがこれまでのバイカル湖中央湖盆ククイキャニオン泥火山等で実施した研究調査で採取したMH含有コアの分析結果との比較を通して、南湖盆南岸沖の最古堆積物存在水域のMH含有コアの特徴の抽出をおこなう。中央湖盆・北湖盆湖底表層コア採取に基づく比較研究調査も試みたい。採取堆積物コア中および間隙水中での水およびガスの移動および混合とMH産状との関係より深部構造の把握を試みる。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] Hydrogen and oxygen isotopic anomalies in pore waters suggesting clay mineral dehydration at gas hydrate-bearing Kedr mud volcano, southern Lake Baikal, Russia2018
Author(s)
Minami, H., A. Hachikubo, S. Yamashita, H. Sakagami, R. Kasashima, M. Konishi, H. Shoji, N. Takahashi, T. Pogodaeva, A. Krylov, A. Khabuev, A. Kazakov, M. De Batist, L. Naudts, A. Chensky, N. Gubin, O. Khlystov
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Journal Title
Geo-Marine Letters
Volume: 38
Pages: 403-415
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Hydrocarbon molecular markers in bottom sediments of focused fluid discharge zones of Lake Baikal2018
Author(s)
Morgunova, I.P., P.B. Semenov, A.A. Krylov, A.V. Kursheva, I.V. Litvinenko, S.A. Malyshev, H. Minami, A. Hachikubo, T. I. Zemskaya, O. M. Khlystov
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Journal Title
Neftegazovaya Geologiya. Teoriya I Praktika (in Russian)
Volume: 13
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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