2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H05776
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
松本 晶子 琉球大学, 観光産業科学部, 教授 (80369206)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 正二 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (40282727)
國松 豊 龍谷大学, 経営学部, 教授 (80243111)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 捕食圧 / アヌビスヒヒ / ヒョウ / 性別の偏り / 生活史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「野生アヌビスヒヒの、捕食された割合と捕食の犠牲個体の性・年齢クラスを明らかにし、捕食がヒヒの生活史や社会構造に及ぼす影響を明らかにする」ことである。 平成28年度は、8月に科研費研究員を雇用した。8月後半から、研究代表者と研究員はケニア・ライキピア地域でアヌビスヒヒの観察を開始した。調査期間中、生活史関連データ(出産、移入、消失、死亡、捕食等)を記録した。移出したオスが近隣の新たな集団に入ったことから、近隣集団が同定できるようになったため、隣接集団とのエンカウンターの情報も追加記録することにした。研究分担者の野外調査により、平成28年度は2か所で2頭のヒヒの骨を新しく発見した。これらの個体の性別・年齢は形態的、遺伝的な情報により平成29年に明らかにしていくこととした。観察例数はまだ少ないが、捕食の犠牲個体が特定の性別・年齢に偏っている傾向が推測された。 また、代表者は当初予定していなかった研究専念期間を大学から得たため、1-2月に研究協力者のいるUC Davisに滞在し、ヒヒとヒョウのGPSの位置データに基づいた、ヒョウの対ヒヒ捕食の傾向を分析した。この結果は、ヒョウの側の捕食戦略として、ヒョウはヒヒ集団が休んでいる夜間の時間帯に接近していたことを明らかにした。しかし、必ずしもヒョウの接近がヒヒを捕食するに至っていないことも明らかになった。この結果は、平成29年度の国際学会に発表予定であるとともに、国際誌に投稿した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究代表者は当初予定していなかった短期研究専念期間を10月より受けることになり、海外研究協力者のもとで集中してデータ分析をする機会を得た。直接結果を討議することができ、予想していた以上に早く論文執筆が進展し、平成28年度内に1本目の論文投稿を完了することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の8月まで1年間の野外調査を実施し、9月から収集したデータの分析を実施する。研究変更を伴う問題として、ケニアの政治情勢によっては野外調査を短縮する可能性がある。8月初めにケニアでは大統領選挙があり、一部地域で短期的な治安悪化が予想される。また、平成28年度10月からケニア北部~中部域を中心とした地域で大干ばつがあり、これまでに治安悪化が報じられている。すでに8か月データ収集が終了しているので、野外調査が短縮されても問題はないことが予想されるが、サンプルサイズが少ない場合には治安が安定した後短期調査を実施することで対応する。
|