2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H05776
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
松本 晶子 琉球大学, 国際地域創造学部, 教授 (80369206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 正二 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (40282727)
國松 豊 龍谷大学, 経営学部, 教授 (80243111)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 捕食圧 / アヌビスヒヒ / ヒョウ / 性別の偏り / 生活史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「野生アヌビスヒヒの、捕食された割合と捕食犠牲個体の性・年齢クラスを明らかにし、捕食がヒヒの生活史や社会構造に及ぼす影響を明らかにする」ことである。 平成29年度は7月末まで、昨年度から継続してフィールド研究を実施し、ヒヒの生活史関連データ(出産、移入、消失、死亡、捕食等)を記録した。フィールド調査の期間中に消失した個体はあったものの、直接的な捕食事例は観察されなかった。調査集団への新しいオスの移入があり、オス間に闘争が観察された。オス間闘争によって、関与した個体はしばしばケガを負った。これらのケガが重篤になれば捕食者に対して脆弱になると考えられた。そこで、闘争によって負ったケガの大きさと、そのケガがヒヒの健康状態にどれぐらいのネガティブ・インパクトがあるかを評価するため、ケガの大きさの変化を測定することとした。野外調査では直接ケガの大きさを測定することが困難なことから、写真を撮影し、その画像データを基にケガの大きさを測定することとした。これまで野生の霊長類を対象としたケガの治癒速度を報告する研究はほとんどないことから、このデータは動物医療等の関連分野においても重要な基礎情報となると考えられる。 また、7月末にGPSを装着していた個体からGPS機の取り外しをおこなった。GPSは霊長類の移動研究において非常に有用な技術であることが明らかになった。一方、安全な機器装着/脱着方法の開発や、個体の健康状況等への負担についてデータの蓄積が必要であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の8月まで調査を実施することを予定していたが、ケニアの大統領選挙に伴う治安悪化が生じたため、調査を7月で終了した。調査期間は短くなったが、8月から創傷治癒に関するデータについての分析を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年4月からは収集したデータを引き続き分析し、データが不足している場合には8月に短期調査を実施することで対応する。6月には日本霊長類学会、8月には国際霊長類学会において成果を報告する予定である。
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Research Products
(4 results)