2019 Fiscal Year Annual Research Report
海面上昇が乾燥地に生育するヒルギダマシ林の遺伝構造と地理的動態に与える影響
Project/Area Number |
16H05788
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
中島 敦司 和歌山大学, システム工学部, 教授 (90283960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橘 隆一 東京農業大学, 地域環境科学部, 教授 (20432297)
吉川 賢 岡山大学, 地域総合研究センター, 特命教授 (50166922)
小見山 章 岐阜大学, 応用生物科学部, フェロー (60135184)
谷口 真吾 琉球大学, 農学部, 教授 (80444909)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マングローブ / ヒルギダマシ / 海面上昇 / DNA / 地理的動態 / 林分動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
海面上昇が乾燥地に生育するヒルギダマシ林の遺伝構造と地理的動態に与える影響を明らかにする目的で,インド洋沿岸を中心に,各地に自生するヒルギダマシのDNAを分析し,地理的動態に変動があるかどうかを現地調査と衛星写真によって解析した。得られた結果は以下の通りである。1)衛星画像によって対象17カ国の林分動態を解析した結果,衛星画像ベースでは海面上昇によってマングローブが著しくダメージを受けたエリアは見られなかったものの,現地で実施した聞き取り調査では,一部の地域では海面上昇による海岸侵食によって林分が後退していることが明らかとなった。その理由としては,2)海岸,特に湿地面積の減少に加え,海面上昇による洗削が引き起こした土砂移動によって呼吸根が埋没し,その結果,ダイバックが起こることで林分が衰退する可能性が示された。その一方で,3)淡水の入り込むマングローブでは人間の過剰利用がない限り健全に維持されていることも確認された。また,4)広域,狭域でのDNA分析/比較を行った結果,ヒルギダマシの遺伝的特徴は大枠では地域特性が示され,また,同一エリア内ではグラデーションのように緩やかに自生地の距離が離れるほど近縁関係が崩れることが明らかになった。以上の結果,現在みられるレベルの海面上昇では,著しいダメージが認められず,特定の地域の遺伝子群だからといって林分が衰退することもなかった。しかし,一部では海面上昇による衰退がみられており,今後も継続したモニタリングが必要であると結論づけられた。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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