2016 Fiscal Year Annual Research Report
EU農協のビジネス環境変化と組織構造の変容に関する実証的研究
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16H05798
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
李 哉ヒヨン 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (60292786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森嶋 輝也 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業研究センター, 上級研究員 (30391486)
清野 誠喜 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90225095)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | EU農協 / ビジネス環境 / 競争戦略 / 組織構造の変容 |
Outline of Annual Research Achievements |
農協のビジネス環境の変化と、それに伴う農協の組織構造の変容の実態を探るために、スペイン及びイタリアの現地調査が実施された。 スペインについては、Cooperativas agro-alimentariasにより、スペインの農協法を学習した上、農協の競争力強化をめぐる政策的関与とりわけ合併や提携を促進する法律の整備が進んでいることを確認した。アンダルシア州アルメリア県の農協のケーススタディでは、四つの農協組織(①CASI、②UNICA GRUPO、③El Grupo、④MURUGI VERDE)へのインタビューが行われた。 アルメリアの野菜出荷農協調査は、自らが打ち出すマーケティング戦略(コストリーダーシップ、市場の外延的拡大、製品差別化戦略など)に基づき、単協の拡張、単協間の合併、複数農協の共同販売を目指した連合組織の創出など、多様な組織構造の変容が見られた。 イタリアの調査においては、三つの系統組織(Lega Coop、Confcoop、AGCI)において、農協の展開構造と連合組織の役割についてヒアリングが行われた。これにより、近年、農協に関しては、農協の販売事業が多国籍食品企業と競争を強いられる中、三つの連合組織が一つの組織に統合され、系統組織の壁を取り払った上で、農協組織の事業展開を有利に進めるための政策提案やロビー活動に一層の力を注いでいるということが確認できた。 南欧地域の農協組織においては、ローガルレベルの単協の事業規模が小さいが故に、効率性やマーケットポジショニングを高めるための農協間合併及び複数農協間のネットワーキングへの取り組みが積極さを増していることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
スペインやイタリアの現地調査は、当初の年度計画に想定した観察対象を上回っているほか、南欧地域農協の組織構造の変容を捉えるにあたって必要な多くのデータが確保できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後においては、調査のフィールドを東欧諸国すなわち社会主義から資本主義へ移行したCIS国家に移し、その経済体制の移行に農協組織がどのような組織形態および事業方式を採用し、急変するEUの農産物マーケット環境の変化に対応してきたかを確認する予定である。
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