2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16H05801
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村山 美穂 京都大学, 野生動物研究センター, 教授 (60293552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牛田 一成 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (50183017)
大屋 賢司 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (50402219)
高島 康弘 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20333552)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 飼料栄養 / 消化吸収 / 衛生管理 / 生産加工 / 野生動物保全 |
Outline of Annual Research Achievements |
成果を飼育マニュアル全20頁、ニュースレター「ガーナグラスカッター飼育プロジェクト」全11頁にまとめ、関係者に配布した。 (1)飼料栄養 野生グラスカッターの消化管の内容物を採取し、DNA を抽出して次世代シーケンサー(Illumina MiSeq)で葉緑体DNA など種同定に有効な領域のユニバーサルプライマーを用いて塩基配列を解析した。データベース登録配列と比較したところ、イネ科、マメ科、キク科の植物とマッチし、多様な食物を摂取しており、雨期には種類数が増えることが示唆された。 (2)消化吸収 飼育グラスカッターの成長促進目的に使用できるグラスカッター由来の乳酸菌を飼育9個体および購入した野生17個体の糞便から検索した。MRS寒天培地上で発育した乳酸菌68株の同定を行い、野生グラスカッター試料からLactobacillus ingluvieiを特異的な乳酸菌として9株分離した。本菌は、文献より鶏の成鳥促進に効果があるとされるので、詳細解析を行い、1株の全ゲノムを解析した。その結果、本菌株は2.23 Mbのゲノムサイズであり、2140のCDSから校正されており、このうち1035個の遺伝子が同定された。 (3)衛生管理 野生グラスカッターの消化管内の寄生虫を検索した。一部の個体に鞭虫がみられた他、観察したすべての個体に毛様線虫類が多数感染していた。現在、得られた虫体からDNAを抽出して種同定ならびに既知の種との近縁関係を調査している。糞便より抽出したDNAの16Sアンプリコンシークエンスを行った。菌叢の構成に関して、マウスなど他の齧歯類、家畜と比較解析を行っている。また、脾臓よりRNAを抽出し、リッサウイルスなど齧歯類から人への感染が危惧されるウイルスのスクリーニングを行ったが、全て陰性であった。体表に付着したダニを採取し、現在、リケッチアなどの保有状況をスクリーニング中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りの成果が得られ、新たな高機能の可能性のある腸内細菌が発見されるなど、顕著な成果も見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度は、次世代シーケンサーを用いて、腸の内容物から食物となる植物の種同定を行い、得られた情報に基づき、飼育個体への適切な飼料供給をはかる。グラスカッターのゲノム領域を解明して育種選抜のマーカーとするために、候補遺伝子の塩基配列を解析し、飼育個体と野生個体で比較する。継代飼育による腸内細菌叢の変化や新機能の獲得についても調べる。また衛生管理に関してグラスカッターおよび、感染源となる可能性のある周囲の家畜が保有する細菌、ウイルス、寄生虫の全容を把握する。
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