2018 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of latent pathogenic viruses in Latin America and South-eastern Asia by virome analysis
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16H05805
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
澤 洋文 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 教授 (30292006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大場 靖子 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 講師 (60507169)
佐々木 道仁 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 特任助教 (70609403)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ウイルス / ゲノム解析 / 新興・再興感染症 / ボリビア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、現在申請者が有している国際ネットワークを活用し、調査フィールドを線として繋げ、Virome解析手法等を用いて、新興・再興感染症の原因となる新規及び既知の病原体の分布状況を把握すること、得られた情報を既得の情報と比較することにより病原性ウイルスの分布・進化・生活環を把握することを目指す。 平成30年10月17日から27日にかけて、新たな調査地域として南米に位置するボリビアを共同研究者研究分担者の大場靖子講師と共に訪問し、現地に生息する蚊、およびマダニを採集した。 現地での活動は、Gabriel Rene Moreno大学の獣医学部の川森先生、副学長のPereira教授、Ariel研究員との共同研究で実施し、現地JICA海外協力隊の田中さん、松尾さんにも協力を得て、ボリビア北部のアマゾン川流域のトリニダ、サンタクルス近郊のアンブロ国立公園、日本人移住地域であるサンファンの農場において、蚊、ダニを採集した。蚊は、捕虫網、CDCトラップ、およびBGセンチネルトラップを用いて、宿舎の周囲、また、密林で採集した。その結果、Psorophora属を含む計2,214匹のメスの蚊を捕獲した。その後、冷凍して死んだ蚊を北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターに輸送し、RNAを抽出し、フラビウイルス、アルファウイルス、ブニヤウイルス等をRT-PCR法を用いて解析した。その結果、新規ウイルスを8種同定し、1種の新規ウイルスを単離した。現在得られたゲノム情報を用いて分子進化学的解析を実施し、他の地域で得られている情報と比較している段階である。 また、インドネシアのボゴール大学の獣医学部の副部長であるAgus Setiyono教授が、平成30年10月に北大人獣共通感染症リサーチセンターを訪問し、次年度の研究の打ち合わせを実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、現在申請者が有している国際ネットワークを活用し、調査フィールドを線として繋げ、Virome解析手法等を用いて、新興・再興感染症の原因となる新規及び既知の病原体の分布状況を把握すること、得られた情報を既得の情報と比較することにより病原性ウイルスの分布・進化・生活環を把握することを目指すものである。 研究実績の概要に記載した様に、南米のボリビア北部のアマゾン川流域のトリニダ、サンタクルス近郊のアンブロ国立公園、日本人移住地域であるサンファンの農場において、蚊、ダニを採集し、フラビウイルス、アルファウイルス、ブニヤウイルス等をRT-PCR法を用いて解析した結果、新規ウイルスを8種同定し、1種の新規ウイルスを単離した。現在得られたゲノム情報を用いて分子進化学的解析を実施し、他の地域で得られている情報と比較している段階である。 また、ザンビアでのウイルスの感染・伝播経路に関しても新たな知見を得て国際学術雑誌にその結果を報告した(Infect Genet Evol Sep 63:104, 2018)。 さらに、平成30年10月に、インドネシアのボゴール大学の獣医学部の副部長であるAgus Setiyono教授が人獣共通感染症リサーチセンターを訪問し、次年度の研究の打ち合わせを実施した。 以上の様に、本研究では申請者が有している国際ネットワークを活用し、ウイルスの分布・進化・生活環に関する新たな知見が蓄積されていることから本計画はおおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度においては、以下の研究を実施する。 ・中南米に位置するボリビアの若手研究者との連携を強化して、現在得られている、蚊から検出した新規の8種、また単離した1種の新規ウイルスのゲノムの解析を推進する。 ・他の研究計画とも連携して、ブラジルのフィオクルーズ研究所を南米研究の拠点とし、これまで以上に節足動物等を対象とした疫学研究を推進する。 ・これまでに得られた野生動物および節足動物検体を用いてウイルスの検出・単離を試みる。ウイルスゲノムが検出された際には、既に北大人獣共通感染症リサーチセンターに設置されている次世代シーケンサーを活用して、ウイルスの全ゲノムを解読する。得られた情報を用いて、分子進化学的解析を実施し、他の地域で得られている既知のデータと比較することにより、ウイルスの分布・進化・生活環に関する新たな知見を得る。
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Research Products
(14 results)