2017 Fiscal Year Annual Research Report
タイにおけるスイギュウマラリアの分子疫学並びにその病原性解析
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16H05807
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
麻田 正仁 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (40587028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 修 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (50325370)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マラリア / ヤギ / シカ / 偶蹄類 |
Outline of Annual Research Achievements |
マラリアはヒトでは年間40万人以上の死者を出す重篤な感染症であるが、ウシ科動物のマラリアは20世紀半ばにいくつかの報告がされて以降、ほとんど報告がない。研究代表者らはタイでスイギュウを対象に血液から遺伝子診断を行ったところ、約半数にマラリア原虫を認めた。1919年の論文によると、インドで実験的に牛疫ウイルスを感染させたスイギュウの血液からのみマラリア原虫が検出されているため、免疫の低下したスイギュウで発症する可能性があるが、その実態は全く明らかでない。流行域も我々の予備研究により、インド以外にタイにおいても流行していることが初めて明らかになったばかりである。そのため、本研究ではタイを中心にウシ科動物におけるマラリア原虫の感染状況とその病原性を明らかにすることを目的とする。2017年度はタイ南部-中部のぺチャブリ州、チョンブリ州を中心に引き続きPCRによるヤギマラリアの調査を行ったところ、前年度と同じくぺチャブリ州のヤギよりマラリア原虫DNAが検出された。さらに、研究協力者の協力を得て、ミャンマー、イラン、スーダン、ケニアのヤギについても調査を行い、それぞれ、0-40%と地域、時期により差はあるものの、全ての国においてヤギからマラリア原虫DNAが検出された。さらに、南米のパンパスジカからも偶蹄類マラリアのDNAを検出することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
原虫の分離にまでは至らなかったが、ヤギのマラリアがアジア、アフリカの広範囲に分布することが初めてあきらかとなった。また、これまで報告の無かった南米地域においても偶蹄類マラリアの存在が明らかとなり、疫学調査に関しては当初の予定以上の進展が見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度の研究によりマラリア原虫の世界的な分布については明らかとなったため、2018年度は、引き続きマラリア原虫の分離を試み、病原性に関わる遺伝子の解析を進める。また、蚊の採集、PCRによるマラリア原虫DNAの検出を行い、媒介蚊の特定を開始する。
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[Presentation] アジア及びアフリカのヤギマラリア原虫はヤギの分布域拡大に併せて広まった2018
Author(s)
Kaewthamasorn M, 竹田美香, Saiwichai T, Gitaka JN, Tiawsirisup S, 今里裕平, Mossaad E, Sarani A, Kaewlamun W, Channumsin M, Chaiworakul S, Katepongpun W, Teeveerapunya S, Panthong J, Mureithi DK, Bawm S, Htun LL, Win MM, Ismail AA, Ibrahim AM, Suganuma K, Hakimi H, 中尾亮, 片倉賢, 麻田正仁, 金子修
Organizer
第87回日本寄生虫学会大会
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[Presentation] Ungulate malaria parasites2017
Author(s)
Templeton TJ, Asada M, Montakan J, Ishikawa SA, Tiawsirisup S, Sivakumar T, Namangala B, Takeda M, Mohkaew K, Ngamjituea Sm Inoue N, Sugimoto C, Inagaki Y, Suzuki Y, Yokoyama N, Kaewthamasorn M, Kaneko O
Organizer
第86回日本寄生虫学会大会
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[Presentation] Ungulate malaria parasites2017
Author(s)
Templeton TJ, Asada M, Montakan J, Ishikawa SA, Tiawsirisup S, Sivakumar T, Namangala B, Takeda M, Mohkaew K, Ngamjituea Sm Inoue N, Sugimoto C, Inagaki Y, Suzuki Y, Yokoyama N, Kaewthamasorn M, Kaneko O
Organizer
The 13th Nagasaki-Singapore Medical Symposium / Leading Program International Symposium
Int'l Joint Research
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