2017 Fiscal Year Annual Research Report
Speciation and toxicological study of antimony in the environmental water in eastern and mid-southern China
Project/Area Number |
16H05812
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小椋 康光 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (40292677)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 紀行 千葉大学, 大学院薬学研究院, 准教授 (10376379)
阿南 弥寿美 昭和薬科大学, 薬学部, 講師 (40403860)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | アンチモン / テルル / 薬学 / 環境分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体は地球上に安定に存在する92種類の元素を巧みに生活環境に合わせて取捨選択することにより進化を遂げてきた。生体は、どのように必須元素を選択してきたのだろうか?地球上に偏在していた元素、例えばレアメタルを、人間の工業的な利用の結果として、環境中に散逸させると、生命に新たな進化をもたらすのであろうか? 人間が環境にもたらした元素環境の変化が、生命にどのような影響を及ぼすのかという問いに、分子レベルの解答を得ることが、研究代表者の推進する研究の全体構想である。その全体構想の中にあって本研究では、類金属という特有の物理化学的・生物学的特性を有した元素に着目し、類金属の産出量の多い中国華東・中南地方での環境動態と生体内における分子基盤を解明し、それら知見から毒性学的及び創薬科学的応用を図ることを目的としている。 類金属のうち、アンチモンやテルル、人類にとって有用な元素であるものの、有用性が先行し、詳細な生体影響評価あるいは環境影響評価がなされていない。本研究では、化学形態別分析に立脚した生体影響評価を実施することにより、このような閉塞状況を打開することが可能となり、元素の有用性と有害性のトレードオフから脱却できると考えている。従って本研究は、研究代表者の有する分析技術を利用して、他の研究グループでは得ることのできない環境毒性学的知見の集積を図り、創薬科学や予防薬学という観点から人類へ還元するという意義を担っている。 本年度は当初の計画通り、昨年度のフィールドワークに基づくラボワークを中心として、また一部追加のフィールドワークを実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度のフィールドワークを受け、環境中に存在し、また飲料水として持続的な曝露が想定されることから、アンチモン化合物について遺伝毒性試験を実施した。想定されるアンチモン化合物については、今年度内に予定していた試験を全て終了した。 アンチモンに関するラボワークでは、アンチモンの吸収や排泄に関わる遺伝子群の環境濃度変化に伴う発現変動の解析に着手した。現在、引き続き詳細な分析を実施しているところである。 テルルに関するラボワークでは、テルルを代謝すると考えられるほ乳類の酵素を選別し、その機能解析に着手し、興味ある知見を集積しつつある。最終年度に向けた条件設定等はほぼ終了している。 以上のことから、本年度の進捗状況として、おおむね順調に進展していると自己評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度目及び二年度目の研究が概ね計画通りに進捗していることから、最終年度も当初の研究計画に従い、研究を推進する。またこれまでの二年間で成果が蓄積されつつあるため、最終年度にはこれらの成果を取りまとめるための活動も積極的に行う予定である。 最終年度にあたり、大きな研究計画の変更はない。
|
Remarks |
平成30年度ひらめき☆ときめきサイエンス 採択(HT30057)
|
Research Products
(8 results)