2016 Fiscal Year Annual Research Report
アジアのヒトとマカクにおける腸管寄生病原アメーバの探索と共進化の解明
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16H05819
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
橘 裕司 東海大学, 医学部, 教授 (10147168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧内 貴志 東海大学, 医学部, 助教 (80587709)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 寄生虫 / 遺伝子 / ゲノム / 感染症 / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アジアに生息する各種マカクにおけるEntamoeba nuttalliとその近縁種の感染実態を明らかにするとともに、虫体を分離し、株間の遺伝的多様性や宿主との共進化について解析する。また、ヒトにおけるE. nuttalli感染を探索し、この種が人獣共通感染症の病原体であるかどうかを明らかにする。今年度はネパールにおいて調査を行った。カトマンズ市内の寺院やナガルジュン国立公園において、アカゲザルやアッサムモンキーから糞便検体を採集した。各種Entamoebaの感染率をPCR法で調べたところ、E. chattoni陽性が92%、E. coli陽性が 86%、E. nuttalli陽性が41%、E. dispar陽性が18%であったが、E. histolyticaは検出されなかった。培養により5株のE. nuttalliを分離し、そのうち3株については無菌化に成功した。セリンリッチ蛋白質遺伝子の解析では、5株は3つのタイプに分類された。一方、カトマンズ市内で校内に野生ザルが出没する2つの学校の児童生徒の糞便検体について、PCR法でEntamoebaを探索した。E. coli陽性が13%、E. dispar陽性が0.5%であったが、E. histolytica、E. nuttalli、E. chattoniはすべて陰性であった。この他、中国の黄山に生息するチベットモンキーの糞便について、PCR法によるEntamoebaの検出を行った。E. chattoni陽性が87%、E. nuttalli陽性が58%、E. coli陽性が25%であったが、E. histolyticaやE. disparは検出されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ネパールのヒトとマカクにおけるE. nuttalliの検索を予定通り実施できた。ネパールに生息するアッサムモンキーから初めてE. nuttalliを分離培養できた。
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Strategy for Future Research Activity |
更に調査地域を広げ、各種腸管寄生アメーバの分布を明らかにするとともに、新規にE. nuttalliを分離培養し、株間の比較解析を進める。
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Research Products
(12 results)