2017 Fiscal Year Annual Research Report
アジアのヒトとマカクにおける腸管寄生病原アメーバの探索と共進化の解明
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16H05819
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
橘 裕司 東海大学, 医学部, 教授 (10147168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧内 貴志 東海大学, 医学部, 助教 (80587709)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 寄生虫 / 遺伝子 / ゲノム / 感染症 / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アジアに生息する各種マカクについて、Entamoeba nuttalliとその近縁種の感染実態を明らかにするとともに、虫体を分離培養し、株間の遺伝的多様性や宿主との共進化について解析している。今年度は、タイ南部において採取したカニクイザルとブタオザルの糞便106検体について解析した。PCRにおける各種アメーバの陽性率は、E. chattoniと大腸アメーバが75.5%、E. nuttalliが44.3%、E. disparが7.5%であり、赤痢アメーバは検出されなかった。細菌共棲培養により、7株のE. nuttalliを分離した。分離株では地理的分布や宿主の違いを反映する遺伝的多型性が認められた。このうちの3株については完全無菌化に成功した。また、本研究ではヒトにおける赤痢アメーバと近縁種の感染実態や虫体の遺伝的多型を解析するとともに、E. nuttalliが人獣共通感染症の病原体であるかどうかについても検討している。今年度は、タイ北西部Tak州Tha Song Yangの児童生徒約1200名の糞便検体における各種アメーバ陽性率をPCRにて解析した。その結果、赤痢アメーバ陽性は2.5%、E. dispar陽性は4.5%、大腸アメーバ陽性は22%であった。一方で、E. moshkovskiiやE. nuttalliは検出されなかった。細菌共棲培養によって、赤痢アメーバ5株とE. dispar5株を分離し、このうち赤痢アメーバ2株については完全無菌化に成功した。培養虫体と一部の糞便検体から抽出したDNAの解析から、この地域における赤痢アメーバとE. disparの遺伝的多型の特徴が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タイのヒトとマカクにおける腸管寄生アメーバ感染の実態を明らかにするとともに、赤痢アメーバやE. nuttalliを分離培養できた。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに調査地域を広げて各種腸管寄生アメーバの分布を明らかにするとともに、新規にE. nuttalliを分離培養し、株間の比較解析を進める。
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Research Products
(22 results)