2018 Fiscal Year Annual Research Report
アジアのヒトとマカクにおける腸管寄生病原アメーバの探索と共進化の解明
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16H05819
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
橘 裕司 東海大学, 医学部, 教授 (10147168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧内 貴志 東海大学, 医学部, 助教 (80587709)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 寄生虫 / 遺伝子 / ゲノム / 感染症 / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アジアに生息する各種マカクについて、Entamoeba nuttalliとその近縁種の感染実態を明らかにするとともに、虫体を分離培養し、株間の遺伝的多様性や宿主との共進化について解析している。今年度は、台湾のみに生息する野生タイワンザルを対象とし、台湾国立屏東科技大学野生動物保育研究所の共同研究者とともに、台湾東部の東河と南部の南化において糞便68検体を採取し、ゲノムDNAを抽出してPCRによる解析を行った。各種アメーバの陽性率は、E. chattoniが93%、E. nuttalliが47%、大腸アメーバ(E. coli)が44%であった。赤痢アメーバ(E. histolytica)、E. dispar、E. polecki、E. moshkovskiiは検出されなかった。さらに糞便を細菌共棲培養することにより、東河の検体から3株のE. nuttalliを分離した。また、tRNA関連反復配列の座位D-Aの塩基配列を解析したところ、これまでに5タイプが同定され、これらは他種マカク由来のE. nuttalliの配列とは異なっており、地域によって特異なDNA型であることを確認した。一方、タイ北西部のミャンマー国境付近の学校において、児童生徒から検出された赤痢アメーバとE. disparについて、DNA多型を解析した。tRNA関連反復配列の座位D-Aにおいて、赤痢アメーバでは13検体で5タイプ、E. disparでは45検体で13タイプが確認された。特に小学校では、学年内やクラス内で同一のDNA型が多く認められたことから、これらのアメーバの校内における伝播が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野生タイワンザルにおける腸管寄生アメーバ感染の実態を明らかにするとともに、Entamoeba nuttalliのDNA多型を初めて解析することができた。また、タイ北西部の児童生徒において、赤痢アメーバとEntamoeba disparのDNA型を初めて明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに調査地域を広げて各種腸管寄生アメーバの分布を明らかにするとともに、E. nuttalliの遺伝的多型について、宿主種との関係、地理的分布との関係を解析する。
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Research Products
(13 results)