2016 Fiscal Year Annual Research Report
Systematics and transmission ecology of novel liver flukes causing human illness in Ecuador
Project/Area Number |
16H05820
|
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
杉山 広 国立感染症研究所, 寄生動物部, 室長 (00145822)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板垣 匡 岩手大学, 農学部, 教授 (80203074)
高木 秀和 愛知医科大学, 医学部, 講師 (90288522)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 肝吸虫 / 肺吸虫 / エクアドル / 国際情報交換 / 伝搬生態学 |
Outline of Annual Research Achievements |
後睾吸虫科Opisthorchiidaeに属する肝吸虫Clonorchis sinensisおよびタイ肝吸虫Opisthorchis viverriniは,極東から東南アジアに分布する医学上重要な吸虫である.一方でアメリカ大陸にも後睾吸虫科に属する肝臓寄生の吸虫は分布するが,多くはAmphimerus属に分類され,ヒトには感染しない動物寄生種と認識されている.例外はエクアドルの虫体で,同国の中西部マナビ県では,地域住民の糞便から肝吸虫様の虫卵が検出された記録が残る.しかも同じ地区で飼育されたイヌの肝臓・胆管系から成虫が検出され,当初はOpisthorchis guayaquilensisとして新種記載された(Rodriguez et al., 1949).本虫はその後,Amphimerus属とされるに至っている(Yamaguti, 1971)が,原記載の記述には不十分な点があり,標本の所在も明らかでない.演者らは2009年以降,エクアドル北西部のエスメラルダス県で住民の糞便検査を実施し,3割以上に肝吸虫様の虫卵を認める地区を見い出だした.駆虫により成虫を得て形態を精査したところ,特に卵黄腺の分岐に特徴を認め,感染者の虫卵はAmphimerus属の吸虫に由来することを確認した.流行地のイヌおよびネコからも成虫が検出され,本虫は人獣共通種であることも分かった.また流行地の部落を流れる河川で採取した魚、例えばguabinaと呼ばれる淡水魚からは,本虫のメタセルカリアが多数検出され,このメタセルカリアを用いた感染試験により、ハムスターが好適な終宿主となることが分かった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
流行地の部落を流れる河川で採取した魚、例えばguabinaと呼ばれる淡水魚から,本虫のメタセルカリアが多数検出されたことから,実験動物を用いた感染試験を実施する目途が立った。実際に、このメタセルカリアを用いた感染試験により、ハムスターが好適な終宿主となることも分かり、病態像の解析や組織病理変化の検討を実施する目途が立った。
|
Strategy for Future Research Activity |
ハムスターから得た成虫を利用して、抗原の調整を行う。免疫血清診断法を構築する為の材料が揃い、検査法の構築に向けた試験を始める。成虫はDNAおよびRNAの調製材料として活用できることから(メタセルカリアでは小さすぎて十分量の材料を調製できない)、遺伝子診断法、例えばLSMP法の構築について検討を進める。
|
Research Products
(2 results)