2016 Fiscal Year Annual Research Report
インドネシアへの日本型学校心臓検診システム導入による心房中隔欠損症の分子疫学研究
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16H05827
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
江本 憲昭 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (30294218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 和彦 神戸大学, 医学研究科, 特命助教 (70584738)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 心房中隔欠損症 / 肺高血圧症 / インドネシア / 学校心臓検診 / 分子疫学研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちは、先天性心疾患で最も頻度の高い心房中隔欠損症(ASD)に焦点を絞り、肺高血圧症(PH)の合併について、その病態解明と治療法最適化への知見集積を目的として日本とインドネシアとの間で共同研究を遂行した。研究実績の概要は以下の通りである。 臨床疫学データの比較については、登録が完了したASD-PH症例(日本163例、インドネシア291例)の臨床データの一次解析を行い、両国間の肺高血圧合併率の違いや年齢・欠損孔サイズ・性別が肺高血圧に与える影響を疫学的に解析し、現在論文の投稿準備中である。 また、インドネシアでの学校心臓検診システム構築については、平成28年10月28日から31日までインドネシアを訪問し、Muhammadiyah Karangkajen Elementary Schoolでの学校検診を実施し、検診システムの運用が可能であることを確認した。平成27年8月に実施したKanisius Notoyudan Elementary Schoolでの学校心臓検診とも合わせて、両校共に校長を始め教職員ならびに保護者からの多大な協力に加え、今回ガジャマダ市自治政府公衆衛生課からの支持も得ることができたため、今後学校検診を拡充していく基盤が形成された。 新規バイオマーカーの探索に関しては、検体の収集は順調に進んでおり、インドネシアから日本への検体輸送準備中である。平成29年1月に神戸薬科大学とGadjah Mada Universityとの間で大学院協定(MOU)を締結し、現在MTA (Material Transfer Agreement) の締結を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3つの研究課題(日本―インドネシアの臨床疫学データの比較、インドネシアでの学校心臓検診システムの構築、新規バイオマーカーの探索)はいずれも当初の計画通り進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き3つの課題を遂行する。 具体的には、症例登録を継続し、データーベースの充実化をはかる。可能であれば新たな切り口での解析を実施したい。 学校心臓検診に関してはシステムの構築が可能であることが明らかとなったため、現在検診業務に協力してくれているガジャマダ大学レジデント8名を中心に拡充する。未成年のASD肺高血圧症例の疫学的データが順次追加されることとなり、ASD患者における肺高血圧症合併頻度やEisenmenger化が起こる至適年齢が明らかにしたい。 新規バイオマーカーの探索は、遺伝学的アプローチに加えて脂質メディエーターの網羅的解析やアミノ酸のメタボローム解析などの可能性について検討したい。
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