2018 Fiscal Year Annual Research Report
Algebraic Complexity Theory: New Approaches and Algorithmic Applications
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16H05853
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
ルガル フランソワ 京都大学, 情報学研究科, 特定准教授 (50584299)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 計算量理論 / アルゴリズム / 代数的問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、理論計算機科学の諸問題を解くにあたり、代数的手法の役割を追究することである。具体的には(A)代数的計算量理論に対する新しいアプローチの開発(B)代数的手法を新たな理論計算機科学の問題に応用すること(C)代数的計算量理論に基づく計算問題における計算の複雑さの定量化及び分類を目指す。平成30年度はこの3本柱に基づき、以下の通り研究を推進した。
(A)数学や計算機科学において重要な問題である群位数問題(与えられた有限群のサイズを求める問題)に着目した。群の位数を求める量子アルゴリズムは2000年代から知られているが、計算結果を従来の計算機で効率よく検証できるかどうかは未解決であった。そこで、代数的なアプローチに基づき、可解群の位数の計算を効率よく検証する新しい方法を開発した。この成果により、上述の未解決問題を部分的に解決することに成功した。 (B)代数的な手法を量子分散計算に応用する研究を推進した。まず、分散計算の最も重要なモデルの一つである「CONGESTモデル」において、通信ネットワークの様々な性質(例:ネットワークの直径)を従来の分散アルゴリズムより高速に求める量子分散アルゴリズムの構築に成功した。次に、分散計算のもう一つの重要なモデルである「LOCALモデル」においても、高速な量子分散アルゴリズムを構築し、量子分散計算の優位性を明らかにした。 (C)与えられた二つの量子演算(ユニタリ行列)を識別する問題を研究した。この問題は量子計算・情報における最も基礎的な問題の一つであるにもかかわらず、今まで計算量(識別に必要な演算の適用回数)に着目した研究はほとんどなかった。平成30年度には代数的なアプローチ及び幾何的なアプローチを用いて、その問題の計算量を厳密に解析することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べたように、平成30年度も計画通りに研究成果を数多く得ており、本研究課題は順調に発展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は成果をさらに発展させながら、本研究課題の目標を達成するために、開発してきた代数的手法の解析に力を注ぐ。特に計算量理論的な側面の解析に着目する予定である。また、最終年度にあたって、国内・国際会議で発表するなど、本研究課題で得られた成果を引き続き広く公開していく。
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Research Products
(9 results)