2018 Fiscal Year Annual Research Report
Alpha-based inter-areal communication hypothesis tested by manipulative techniques
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16H05862
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
天野 薫 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報通信融合研究室, 主任研究員 (70509976)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 認知機能 / アルファ波 / 短期記憶課題 / 有効視野課題 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに確立したアルファ波の周波数操作技術を認知課題に適用し,その応用可能性について検討した.注意を向けることの出来る空間的な範囲は有効視野と呼ばれるが,高齢者等ではその範囲が狭くなり,自動車の運転中に周辺からの飛び出しに気づきにくいなどの問題が指摘されている.本研究ではこの有効視野と脳波の周波数の関係を検討した.心理課題では,画面の中心に呈示される文字を回答すると共に,同時に呈示されるフラッシュ刺激の位置を回答させた.一般にフラッシュの位置が中心から離れるほど回答の難易度は高くなる.視覚的注意にはアルファ波が密接に関係することが知られているため,我々が既に開発した,経頭蓋電流刺激を用いてアルファ波の周波数を変調させる技術(Minami & Amano, 2017)を使って,課題中のアルファ波と周辺課題の成績の関係を2名の被験者に対して検討した.その結果いずれの被験者に対しても,アルファ波の周波数を早くすると周辺課題の成績が高くなる可能性が示唆された.今後被験者を増やした検討が不可欠となるが,本技術を用いて運転中の有効視野を広げられる可能性が考えられる.運転者に対して電流を流すのは現実的でないが,フリッカー刺激,音刺激などによってもアルファ波の周波数を変調できる可能性があるため,実用化に向けてはそのような可能性についても検討する必要がある.
続いて画面に短時間呈示された図形(ランダムな位置にランダムな色で1個から8個呈示)の色を記憶する短期記憶課題の成績と脳波の関係を検討した.その結果,図形が呈示された際のベータ波の位相に応じて短期記憶の成績が変化する可能性が示唆された.将来的に脳波の特定の位相で刺激を呈示することで短期記憶を向上させられる可能性が示唆される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までに確立したアルファ波周波数の操作技術を認知課題に適用し,期待通りの成果が得られつつある.ただし,まだ被験者数が少なく確定的なことは言えない条項である.
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要で示した成果について被験者を増やした検討を進めていく.特に,電流刺激に基づくアルファ周波数の操作による有効視野の拡大に注力する,短期記憶課題についても同様の検討を行い,操作技術の実世界への応用を目指す.
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