2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16H05864
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大石 岳史 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (80569509)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 複合現実感 / 3次元ビジョン / コンピュータビジョン / 視覚情報処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、多人数が同時にかつ広範囲に体験できるモビリティを利用した複合現実感(MR)システムの実現に向けて、MRにおける人間の視覚特性を明らかにし、その関連技術を開発することを目的としている。 平成28年度は、計測3次元データを用いたモビリティのグローバル位置姿勢推定手法、および仮想物体の視認性向上手法の開発を行った。都市空間など遮蔽が大きい場所では、車両の位置姿勢をGPSやIMUによって高精度に求めるのは難しい。そこで事前にモデル化した3次元データを参照データとして、車両に搭載した複数カメラを用いた高精度位置姿勢推定手法を開発した。研究代表者らは大規模構造物の3次元モデル化技術を長年開発してきており、実世界の正確な3次元モデルを取得することが可能である。この3次元モデル化技術によって得られたデータを用いることによって、カメラ座標系とCG座標系の位置合わせが可能である。本年度は複数の全方位カメラによって得られた複数の全方位画像を同一3次元座標系で扱うことによって、従来の一台のカメラによる位置姿勢推定に比べて、安定かつ高精度に位置姿勢推定可能な手法を開発した。 仮想物体を実世界に一様に重畳した際に、OSTのような半透明表示の場合には、背景の応じて視認性が大きく変わってしまうという問題がある。そこで我々は仮想物体の視認性を評価し、それをもとに出力を変化させ、背景によらず一様に視認性を制御できる手法を開発してきた。この視認性は前景と背景の空間周波数の差や、テクスチャの方向、色彩などによって異なる。本年度は輝度、色彩の表現範囲に応じた最適な表示方法の開発を行った。 また追加課題として屋外において仮想物体と現実世界の光学的整合性を実現するための要素技術として、大気遠近を表現するための大気混濁係数の推定と、実時間レンダリング手法も併せて開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は事前に得られた環境3次元モデルと複数カメラ画像によるモビリティのグローバル位置姿勢推定手法および、仮想物体の視認性安定化手法の開発を行った。従来の計画では、3Dスキャナーを購入し、位置姿勢推定精度の評価を行う予定であったが、購入予定物品の納期の問題により次年度に評価が繰り越しとなった。また成果発表はワークショップにおける発表のみであったため、今後は雑誌論文、査読付き国際会議への投稿、発表を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は基礎技術として、モビリティの位置姿勢推定、仮想物体重畳時における視認性の評価やレンダリング手法の開発を進めてきた。今後は引き続きモビリティの位置姿勢推定高精度化に加えて、奥行き知覚に大きな影響がある遮蔽処理手法の開発を進めていく予定である。
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