2017 Fiscal Year Annual Research Report
身体知解析に基づく複合現実型技能伝承システムの構築
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16H05869
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
脇田 航 広島市立大学, 情報科学研究科, 助教 (80584094)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 複合現実感 / バーチャルリアリティ / ロコモーションインタフェース / テレイグジスタンス / モーションベース / 歩行システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,熟練者の技能伝承のため,身体の姿勢や動き,筋電,視線,触知覚等の解析に基づく熟練者の身体知を自動モデリングする方法を確立し,複合現実感技術による視触力覚教示および能動的訓練により,時空の壁を超えた技能伝承の効率化を図ることである.このために,1)熟練者の身体知を記述するモデルを観測データから自動生成し,2)身体知をリアルタイムに視触力覚提示可能なシミュレータを開発し,3)手技における身体知を提示可能な両手多指力覚提示装置を開発し,4)それらを用いて,熟練者の身体知を視触覚教示および能動訓練可能な複合現実環境を構築し,5)産業,人文,芸術等の分野における熟練者の技能の学習に応用することにより,いつでもどこでも熟練者の傍で教わっているような時空の壁を超えた技能伝承の効率化を図ることである. 本年度は,空間を越えた知のリアルタイム伝達手段として,全周カメラおよび再帰性反射マーカを搭載した移動体を遠隔操作する際,全周映像を操作者側にリアルタイムに伝送するだけでなく,赤外線追跡による位置データから慣性力を計算し,操作側の座席を揺動させることで,高臨場に映像及び慣性力を伝達可能なテレイグジスタンスシステムを実装した.また,積載物を揺動可能なモーションベースのアクチュエータにかかる負担を軽減するため,積載物を支える支柱部分を球面体として積載物の重心を下げることにより,荷重の大半を地面へと逃がすだけでなく,揺動時に増大するモーメントを大幅に低減可能な手法を開発し,ロール・ピッチともに±15度に揺動可能なプロトタイプを完成させた.さらに,トラッキング範囲に制限のあるルームスケールのバーチャル空間を越えて移動する手段として,荷重センサを用いて全方位に歩行可能な手法を開発し,手の甲6自由度に力覚呈示可能なプロトタイプを完成させた.また,上腕の筋電をリアルタイムに可視化可能なシステムを構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度において,全身の身体動作および上腕筋電のリアルタイム可視化が可能となり,また,ルームスケールを越えた歩行および座位の移動手段に加え,手の甲6自由度での力触覚呈示が可能となった.視線についてはリアルタイムにとれる状況にあり,実装済みの実空間のリアルタイム両眼立体視と組み合わせることで,MR空間において熟練者の視線を重畳表示できる準備は整っている.また,産業分野における技能伝承として,モーションベースを用いて体性感覚を呈示可能なフォークリフト,ヘリコプター,タンカー,バックホー等の運転操作訓練システムや,力触覚呈示可能な鍛造訓練システムを産学連携で進めている.このため,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本年度までに開発したモーションベースや歩行装置によるルームスケールを越えた両手に力触覚呈示可能なバーチャル空間において,身体動作や筋電,心拍,視線等をリアルタイムに可視化し,反復訓練可能なシステムを産学連携で進めていく.
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