2017 Fiscal Year Annual Research Report
歩行者・自転車・自動車を網羅した高齢者向け交通安全支援技術の開発
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16H05871
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
多田 昌裕 近畿大学, 理工学部, 准教授 (40418520)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高齢者 / 高齢ドライバー / 運転技能評価 / リアルタイム安全アドバイス提供 / 自転車 / 歩行者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,前年度の研究で得られた歩行者,自転車乗用者の安全確認行動に関する知見に基づき,自動車運転者向けの運転行動評価アルゴリズムを歩行者,自転車に適用できるよう拡張した.また,昨年度はノートPC上に実装していたプロトタイプシステムを,Android上に実装し,スマートフォンで日常の交通行動(歩行,自転車乗用,自動車運転)の計測,解析・認識を同時に行うことが可能な人間行動センシングプラットフォームを構築した. リアルタイム安全アドバイス提供の有用性の検証に関しては,昨年度計測した72名の高齢者を対象とした実験データの詳細な解析を行い.リアルタイムに安全アドバイスを提供した実験群36名と,提供しなかった対照群36名の運転技能評価結果を比較した.その結果,ある評価ポイントにおいて良い運転と評価するアドバイスを受けた後,次も継続して良い運転の評価を受けた割合を見たところ,実験群の方が対照群に比べて有意に高い傾向にあることがわかった.このことから,運転行動が良好であることをリアルタイムに通知することによって,運転者が以降も安全な運転行動を継続する動機付けを図る上で,一定の効果が期待できることが分かった.一方,ある評価ポイントにおいて改善を要する運転と評価された後,次のポイントにおいても改善しなかった割合を調べたところ,実験群の方が対照群に比べて有意に低い傾向にあることがわかった.このことから,運転行動の改善を促すアドバイスをリアルタイムに提供することによって,その後の運転行動の改善に一定の効果が期待できることが分かった. 以上の結果を踏まえ,自動車教習所などとも連携しつつ,今年度は高齢者を始めとした235名を対象にシステムの評価実験を行い,事故リスクが高まる場所推定手法の検証と,アドバイス提供方法,内容の検討を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自動車運転者向けの運転行動評価アルゴリズムを歩行者,自転車に適用できるよう拡張する研究開発,および,スマートフォン上で日常の交通行動(歩行,自転車乗用,自動車運転)の計測,解析・認識を同時に行うための人間行動センシングプラットフォームの研究開発は完了した.また,今年度は当初予定よりも多い235名を対象にシステムの検証実験を実施できた.一方で,人間行動センシングプラットフォームの完成時期が予定よりも少し遅れたため,高齢者の日常運転行動を計測する実証実験はH30年度に実施する.
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定通り,前年度までの成果を取り纏め,ヒューマンプローブ情報から得られた事故リスクが高まる場所・状況をスマートフォンに自動配信し,それをもとに,歩行者,自転車,自動車,それぞれの利用者に対して,リアルタイムに安全アドバイスを提供するシステムの開発を行う.また,このシステムの有用性を検証するため,高齢者の日常運転行動の計測を含めた実証実験を進めていく.
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Research Products
(7 results)