2016 Fiscal Year Annual Research Report
パーソナライズド人工関節の実現に向けた人間の筋骨格・有限要素解析統合モデルの構築
Project/Area Number |
16H05874
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 江 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任講師 (20641880)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | デジタルヒューマンモデル / 有限要素解析 / 二足歩行制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、患者個人の身体的特性に合わせた人工関節インプラントを提供する基盤技術として、人間の筋骨格系の力学解析とインプラントの有限要素解析を統合したシミュレーションモデルを構築することを目的とする。本年度は関連研究を参考に、既存の右脚の筋骨格モデルに人工関節インプラントの有限要素モデルを組み込むことで基盤となるシミュレーションモデルを作成した。また、以下の2つの方法によりモデルの妥当性の検証を行った。 1.健常膝を有する被験者を対象にモーションキャプチャ計測を行い、シミュレーション結果と比較することで妥当性の検証を行った。特に、被験者の身体寸法を適切に考慮できるようにシミュレーションモデルをスケーリングすることで、計測された筋電位の値とシミュレーションで計算された筋活動度の間に良い相関が得られた。 2.アメリカ国立衛生研究所の研究プロジェクトの一環として行われたGrand Challenge Competition to Predict In Vivo Knee Loadsにおいて、歩行中の人工関節にかかる負荷を計測したデータベースが公開されている。これら公開データと本研究で構築したシミュレーションモデルによる膝負荷の計算結果とを比較し、良い合致が見られた。 以上の2つの方法により構築したシミュレーションモデルの妥当性が示された。また、全身モデルへの拡張方法を検討するとともに、健常膝を有する被験者の運動から人工関節インプラントを装着した場合の運動を推定する際に必要となる運動制御推定アルゴリズムについても先行して研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた基盤モデルの構築を行い、モーションキャプチャ計測との比較、及び文献値との比較による妥当性の評価を計画通りに実行することができた。特に、モーションキャプチャ計測については、次年度以降も妥当性評価に必要となるため、研究期間の初年度に計測実験を行い、そのノウハウを蓄積できたことは今後研究を進めるにあたって有意義であったと考える。一方、構築したモデルは右脚のみであり、全身モデルへの拡張は途中段階にある。本年度は全身への拡張の前にモデルの妥当性評価を優先して行ったためであるが、右脚について一定の妥当性が示されたことから、次年度以降における全身モデルへの拡張をスムーズに行うことが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果を踏まえ、今後は全身モデルへの拡張を行う。具体的には、現時点で全身の骨格系のリンク・モデルは構築済みであり、これを右脚の詳細筋骨格・有限要素モデルと統合する。この際、全身モデルにおける各身体部位の力学パラメータをモーションキャプチャにより推定する力学同定法を実装することで、患者個人の力学特性を反映したモデルの構築を可能にする。力学同定法の検証には人間のモーションキャプチャを利用するだけでなく、力学パラメータの真値が分かっているヒューマノイド・ロボットの利用も想定する。また、全身モデルにおいて人間のバランス制御を模したコントローラを適用し、順動力学計算を行うことでインプラント設置後の運動を予測するシミュレーション技術を構築する。シミュレーション結果とモーションキャプチャによる計測結果を比較することで実験検証を行う。
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Research Products
(14 results)