2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16H05880
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
稲葉 通将 広島市立大学, 情報科学研究科, 助教 (10636202)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 対話システム / 自然言語処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,対話システムを用いたユーザの価値観情報の獲得を目的とする.初年度は,(1)対話データ収集とアノテーション,(2)オープンドメイン対話モデルの構築に取り組んだ.
(1)対話データ収集とアノテーション:クラウドソーシングを用いた雑談対話データの収集と,データに対するアノテーションを実施した.アノテーションとしては発話行為,価値観情報,および対話の盛り上がりを意味するラベルの3種類を付与することにより行った.本データは来年度以降,対話モデルや対話処理の学習データとして利用する予定である. (2)オープンドメイン統計的対話モデルの構築:これまでの対話モデルは,限られたドメインしか扱うことができず,オープンドメインな価値観情報の獲得には不適であった.そこで,大規模Webデータから自動生成した発話候補から,文脈に応じて適切な発話を選択することで対話を進める対話モデルを提案した.大規模Webデータを用いていることから,扱えるドメインが幅広いことが特徴の1つである.また,本モデルにはリカレントニューラルネットワークと呼ばれる深層学習の技術を使用しており,既存手法と比べ,性能も大きく向上した.また,複数の既存の非タスク指向型対話システムと比較実験を行ったところ,有意に対話が破綻するような発話が少ないことが確認された.本研究成果は,来年度以降,価値観情報を獲得するための対話システムに実装し,活用する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年は,初年度のためデータの収集と基盤的技術の整備が主なタスクであったが,前述の通り.データの収集と対話モデルの提案を行うことができた.しかしながら,導入予定であった深層学習用システムの導入が部品調達の関係から5ヶ月程度遅れ,その間,効率的な研究の実施に支障が生じた.ただし,以前から所有する機器を使用することで研究を進め,一定の成果を挙げることができた.また,すでにシステムは導入されており,今後の研究の推進に関しては問題はない.
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Strategy for Future Research Activity |
ドメインに依存しない対話モデルの構築ができたことで,対話システムによるユーザの価値観情報の獲得の基盤技術を確立することができた.そこで今後は本モデル,および収集済みのデータを利用・拡張し,(1)価値観情報の獲得手法の提案と(2)ユーザの価値観を考慮した対話モデルの研究に取り組む予定である.
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