2018 Fiscal Year Annual Research Report
核内構造体によるDNA二重鎖切断修復制御機構の解明
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16H05888
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
西 良太郎 立命館大学, 生命科学部, 助教 (80446525)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | DNA二重鎖切断 / 核内構造体 / ユビキチン化 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNA二重鎖切断(DNA double-strand breaks: DSBs)を適切に修復することはゲノム恒常性を維持する上で不可欠である。現在までに、DSB修復の分子機構はこれに関与するタンパク質の同定に始まり、エピジェネテックな制御を含むクロマチンレベルにおける制御が解明されてきた。一方、ゲノムDNAは核内において様々な核内構造体と混在しており、これらの核内構造体がDSB修復及び、応答に果たす役割には解明すべき点が多く残されている。本研究では、核内構造体を介したDSB修復制御を解明することを目的としており、本年度は下記3点の解析を予定していた。 【USP42のドメイン解析】様々な欠失変異USP42を作成し、USP42の核内構造体への局在に必要及び、十分なドメインを同定した。さらに、このドメインを欠失した変異体を発現するUSP42ノックアウト細胞株はコントロール細胞株に比較して電離放射線に対する高感受性、DSB応答の減弱が認められた。これらのことはUSP42の核内構造体への局在がDSB応答に重要であることを示す。一方、USP42の酵素活性を失活した点変異体を用いて同様の解析を行い、USP42の酵素活性がDSB応答に必要とされることを明らかにした。 【転写とDSB修復のクロストーク解析】USP42相互作用因子を同定する目的で、USP42を基質とした質量分析を行った。相互作用する可能性を示した因子について、共免疫沈降法により転写と密接な関係を示す因子との相互作用を確認した。さらに、USP42ノックアウト細胞株を用いてこの因子をノックダウンしDSB応答を検討したところ、USP42と同一経路で機能することが示唆された。 【スクリーニングより得られた他のトップヒットに関する解析】スクリーニングでは2つのsiRNAの混合物を用いたため、siRNAによる表現型を確認するために単独のsiRNAを用いて同様の実験を行なった。その結果、いずれのトップヒットに関してもスクリーニングの結果と一致する結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記3点の項目について、当初の予定通り進捗しており現在論文投稿準備中である。また、それ以外にも本研究から派生した知見による研究が進展しており、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
核内構造体を構成する因子を標的としたスクリーニングにより、USP42とその相互作用因子が転写制御を介してDSB修復を制御することが示唆されたが、その詳細なメカニズムには解明すべき点が残っている。すなわち、脱ユビキチン化酵素であるUSP42のDSB応答における基質がこの因子であるのか、そうであればUSP42の酵素活性がどのように制御されているのか等について解明する予定である。また、USP42-相互作用因子の経路を介してどのようにDSB修復のうち相同組換え修復が非相同末端結合よりも優先されるのかについても解析する。さらに、USP42と相互作用した他の因子と核内構造の結合を見出しており、この生理学的意味を明らかにする。
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Research Products
(10 results)